トップページ事業概要

研究グループ2 特任研究員:五十嵐大介

 自己紹介
専攻:中世アラブ・イスラーム史

現在の研究テーマ:中世のエジプト・シリアを対象として、イスラーム寄進制度(ワクフ)の研究に取り組んでいます。農村や都市の不動産を特定の宗教・慈善施設/活動に寄進するワクフ制度は、前近代のイスラーム世界各地で都市の発展や学問・文化の振興に寄与し、社会的に大きな役割を果たしたのみならず、現代においても形を変えながら、宗教的慈善を実践する一つの手法として生きています。いわばワクフ制度は、イスラーム社会を見るうえで無視しえない重要なシステムの一つと言えるでしょう。現在は、エジプトの公文書館に残されている寄進文書を史料とした事例研究を進めています。個別のワクフの事例を寄進者のライフ・ヒストリーと重ね合わせることで、ワクフを寄進するという選択・行為がその人物の生活・生涯とどのように関わっていたのか考察し、イスラーム社会とその構成員にとってのワクフ寄進のもつ多面的な意味と役割について明らかにしたいと考えています。
 主な研究業績
  • "The Financial Reforms of Sultan Qaytbay." (Mamluk Studies Review, Vol. 13, no. 1; 2009)
  • "The Private Property and Awqaf of the Circassian Mamluk Sultans: The Case of Barquq." (Orient, Vol. 43; 2008)
  • 「マムルーク体制とワクフ:イクター制衰退期の軍人支配の構造」(『東洋史研究』66巻3号, 2007年)
  • 「『国有地ワクフ』をめぐるイスラーム法上の議論:12〜16世紀」(『東洋学報』88巻4号, 2007年)
  • 「ザヒーラ考:後期マムルーク朝のスルターン財政」(『アジア・アフリカ言語文化研究』73号, 2007年)
  • 「後期マムルーク朝におけるムフラド庁の設立と展開:制度的変化から見るマムルーク体制の変容」(『史学雑誌』113編11号, 2004年)
  • 「オスマン朝期シリアのイスラーム法廷証書:史料学的考察」(『東洋学報』84巻2号, 2002年)
  • 「オスマン朝期ダマスクスの商事裁判所:ダマスクス歴史文書館所蔵『ダマスクス商事裁判所台帳(sijillat mahkama tijariya Dimashq)』の紹介」(『日本中東学会年報』17巻1号, 2002年)
  • その他論文多数