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史料集『帝政ロシアとムスリム世界』の刊行 

 紹介

近年、ロシアではロシア帝国のイスラームに関する研究がめざましく進展している。これらの研究の多くは、ロシア政府の対イスラーム政策やムスリム統治に関する膨大なロシア語アルヒーフに依拠しており、中央ユーラシアにおけるイスラームと政治を考える上では、無視することのできない重要な研究動向となっている。こうした中で、早くからアルヒーフの研究にあたってきたD. Yu. Arapov氏の編集による史料集、Imperatorskaya Rossiya i Musul'manskii mir, Sbornik statei, Moskva: Izdatel'stvo "Natalis", 2006, 480pp. が刊行された(発行部数は、3000部)。

ここには、すでにさまざまな雑誌や論集で刊行されているものも含めて、1783年4月8日のクリミア・ハン国の併合に関する布告から、作曲家リムスキーコルサコフの指導を受けたこともある内務省の専門官リバコフが1917年2月革命の直後に作成した、ロシア・ムスリムの動向に関するレポートまで、35点の興味深い史料が年代順に収録されている。いずれも解説と注がつけられており、史料集としてきわめて有用である。

小松久男

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