「パレスチナ研究班」第6研究会
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JCAS次世代ワークショップ)

(共催:地域研究コンソーシアム(次世代支援プログラム)、京都大学イスラーム地域研究センター(人間文化研究機構(NIHU)プログラム「イスラーム地域研究」京都大学拠点)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 基幹研究「中東・イスラーム圏における人間移動と多元的社会編成」)

 

 日時:2011122()  14:0018:00

                   23() 10:0016:00
場所:京都大学吉田キャンパス本部構内総合研究2号館4階会議室

報告者・報告題目:

鶴見太郎(日本学術振興会特別研究員)「「ユダヤ的かつ民主的国家」の起源・序説――シオニストのパレスチナ/イスラエル紛争観をめぐって」

 池田有日子(京都大学地域研究統合情報センター研究員)「中東和平をめぐる新たなパースペクティブ構築のための試論―1920年代から1940年代に至るアメリカ・シオニスト運

動における「パレスチナ」をめぐる議論を通じて―」

 細田和江(中央大学政策文化総合研究所準研究員)「『ユダヤ人』への挑戦:『カナン運動』とシオニズム」

飛奈裕美(日本学術振興会特別研究員)「オスロ合意以後のエルサレムにおける空間のコントロールをめぐるポリティクス」

吉年誠(一橋大学社会学研究科)「イスラエルにおける土地制度改革を巡る議論から」

岩浅紀久(ITエンジニアリング研究所研究員)「パレスチナ西岸地区における中小零細企業実態調査報告」

 

概要:

 JCAS次世代支援ワークショップ「いま、『中東和平』をどう捉えるか―パレスチナ/イスラエル問題の構図と展開―」が、2011年1月2223日に京都大学にて開催されました。

 1日目のテーマは「シオニズムの世界観とパレスチナ」でした。まず、日本学術振興会特別研究員の鶴見太郎氏が、「『ユダヤ的かつ民主的国家』の起源・序説―シオニストのパレスチナ/イスラエル紛争観をめぐって」と題して、イスラエル国家の「ユダヤ的かつ民主的国家」という自己定義とシオニストの紛争観の起源をロシア出身のシオニストの経験と観念と関連づけて検討しました。次に、京都大学地域研究統合情報センター研究員の池田有日子氏が、「中東和平をめぐる新たなパースペクティブ構築のための試論―1920年代から1940年代に至るアメリカ・シオニスト運動における『パレスチナ』をめぐる議論を通じて」と題して、アメリカ・シオニズム運動指導部の「パレスチナ」への対応とアメリカ・シオニズム運動に存在していた「共存派」の議論を考察しました。中央大学政策文化総合研究所準研究員の細田和江氏は、「『ユダヤ人』への挑戦:『カナン運動』とシオニズム」と題して、シオニストとは別の思想的基盤から新しい国家像を求めた「カナン運動」について報告しました。各報告の後、大阪大学人間科学研究科特任助教の赤尾光春氏が総括コメントを行いました。

2日目のテーマは「パレスチナ/イスラエルにおける土地と経済をめぐる政治」でした。まず、日本学術振興会特別研究員の飛奈裕美氏が、「オスロ合意以後のエルサレムにおける空間のコントロールをめぐるポリティクス」と題して、東エルサレムでの土地・地下・上空の支配、空間表象、生活空間をめぐるポリティクスについて報告しました。次に、一橋大学社会学研究科の吉年誠氏が、「イスラエルにおける土地制度改革―土地の『私有化』を巡る議論を中心に」と題して、90年代以降イスラエル社会で大きく取り上げられた土地制度改革とその問題について報告しました。最後に、ITエンジニアリング研究所研究員の岩浅紀久氏が、「パレスチナ西岸地区における中小零細企業実態調査報告」と題して、JICA プロジェクトとして実施した調査結果をもとに、イスラエルの占領政策がパレスチナ経済にもたらす影響、特に中小零細企業の現状と課題およびその発展を支える国際支援の現状について報告しました。2日目後半では、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教の錦田愛子氏が各報告に対してコメントした後、2日間の成果を踏まえて会場を巻き込んだ白熱した議論が行われました。最後に日本女子大学文学部教授の臼杵陽氏の総括で本ワークショップは閉会しました。会場では、各報告の要旨とレジュメの他、ワークショップのメンバーが作成したパレスチナ/イスラエル関係のキーワード集と年表を掲載した資料集も配布されました。

                        NIHU Program: ISLAMIC AREA STUDIES
                          IAS Center at the University of Tokyo (TIAS)
                                            
GROUP2
  Structural Change in Middle East Politics