■日時:2010521日(金)18時~20

■場所:東京大学本郷キャンパス 医学部図書館333号室(大会議室)

■講演者:ラジ・スラーニ氏

■講演タイトル:"Human RightsCondition and Peace for Gaza
      -  Whatwas achieved from Oslo Agreement until the Gaza War?"

    ガザの人権状況と平和-オスロ合意からガザ攻撃を経て-

特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウの招聘で来日したガザ地区の弁護士ラジ・スラーニ氏(パレスチナ人権センター代表)を囲み、NIHUパレスチナ研究班を主催とする講演会「ガザの人権状況と平和―オスロ合意からガザ攻撃を経て― Human Rights Condition and Peace for Gaza: What was achieved from Oslo Agreement until the Gaza War?」が開催された。出席者は事前予約者を中心に49名に上り、メディア関係者も含めて活発な質疑が行われた。基調講演においてスラーニ氏は、2008-9年にかけてのイスラエル軍によるガザ攻撃が生んだ深刻な人権侵害の状況について語り、その前後を含めてガザ地区では封鎖による社会・経済的窒息状況が続いていることを指摘した。また「国際法は、戦時に保護を必要とする市民のために」作られたもので、「国際社会にはそれを遵守させる責任がある」と強調した。問題の解決には「イスラエルの犯罪的な占領を終わらせる」ことが必要で、「エルサレムのユダヤ化、アパルトヘイト壁の建設を続けながら二国家解決を目指すことは不可能だ」と話をしめくくられた。質疑では、ガザ地区におけるハマースの影響力の強さや、国境を管理するエジプトとの関係、対話や国際社会からの介入がもちうる可能性などについて質問があった。それらに対してスラーニ氏は、問題の本質はイスラエルによる占領と分断政策にあること、対話は重要だがそれを妨げる外部要素が大きく影響していること、ハマースはパレスチナにおいて民主的に選ばれた政治代表であり、それを否定することは中東における民主主義の実践に今後暗い影を投げるといった点を指摘して答えられた。

(文責:錦田愛子)

                        NIHU Program: ISLAMIC AREA STUDIES
                          IAS Center at the University of Tokyo (TIAS)
                                            
GROUP2
  Structural Change in Middle East Politics