2008年度第5回研究会:「中東社会史班」と
 「東洋文庫・現代イスラーム研究班アラブグループ」
 共同研究会(第3回研究会)
  
 
日時: 2009年2月7日(土) 15:30~17:30
  場所: 東京大学法文1号館
  報告者・報告題目: 長谷部圭彦氏(東京大学大学院博士課程)
           『オスマン帝国における新聞の誕生ー『官報』の創刊ー」
  コメント: 池田美佐子氏(名古屋商科大学教授)

   

2009年2月7日、東京大学において、「オスマン帝国における新聞の誕生-『官報』の創刊-」と題する報告を行う機会を得た。ここで言う「新聞」とは、アラビア文字による新聞を指すことを断ったうえで、マフムート2世によって1831年に創刊された『オスマン帝国官報』と、ムハンマド=アリーによってその3年前に刊行された『エジプト官報』、そしてオスマン帝国各州の「州官報」を、実際の紙面を参照しながら瞥見した。次に『官報』と修史官制度との関係を検討し、現役修史官のエサト=エフェンディが官報局の初代長官に任命されたこと、そして彼以降の修史官が、一人を除いて教育改革にも従事していたことの意義を論じた。続けて『官報』の紙面構成を検討し、叙任や法令の他に、化学や地学に関する啓蒙記事も掲載されていたことを指摘した。最後に、『官報』と他の刊行史料と文書史料との関係を論じ、『官報』の刊行史料としての根源性や、刊行史料の博捜による問題意識の深化が、未刊行史料の発掘につながることなどを指摘した。

 池田美佐子先生から『エジプト官報』との比較を中心とするコメントを頂戴した後、参加者ほぼ全員によって、「ムハンマド=アリー朝」とオスマン帝国との関係、識字率の低い社会における「読者」の問題等、広範な議論が活発に行われた。(文責:長谷部圭彦)



                        NIHU Program: ISLAMIC AREA STUDIES
                          IAS Center at the University of Tokyo (TIAS)
                                            
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  Structural Change in Middle East Politics