2007年度第9回研究会:「中東社会史研究班」第5回研究会
  
 
日時: 2007年11月3日(土) 14:00~17:30
  場所; 東京大学本郷キャンバス・法文1号館2階
  内容; エマード・アブー・ガーズィー博士(カイロ大学教授)の講演会
     「文書と中世アラブ文明研究」

イスラームの登場とそれに続く諸国征服にともない、アラブ文明は文書編纂およびその保存の分野で重大な発展を遂げた。しかし、16世紀のオスマン朝占領より以前のアラビア語文書は、考えられるよりも遥かに少ない数しか現存していない。これはおそらく、アラブ文明が不要になった時点で文書を廃棄していたことが原因と考えられる。

しかしながら、オスマン朝期の文書の中にも、それ以前の時代の状況を知る重要な史料となるものが存在する。オスマン朝期エジプトのリザク台帳は、マムルーク朝期に遡る文書資料に依拠しており、したがってマムルーク朝期の農地私有の発達とその社会的・政治的影響に関する研究に新たな知見をもたらしてくれる。すなわち、国庫の土地の売却拡大によって、広大な農地が国有から個人の私有に移り、アウラード・アン=ナースを中心とする農地私有者の新たな階級が形成されていったことが、リザク文書の研究から明らかになるのである


                        NIHU Program: ISLAMIC AREA STUDIES
                          IAS Center at the University of Tokyo (TIAS)
                                            
GROUP2
  Structural Change in Middle East Politics