職名 教授
専修課程 美学芸術学専修課程
専門分野 美学芸術学専門分野
研究室 美学芸術学研究室
詳細情報 詳細情報【PDF: 47KB】
2014-2015年度【PDF: 222KB】
2016-2017年度【PDF: 245KB】
2018-2019年度【PDF: 252KB】
2020-2021年度【PDF: 255KB】

可能世界論によるフィクション論をはじめ、論理分析哲学を芸術学に応用する研究を進めてきた。現在は、「人間原理」と称されるパラダイムで価値論を再構成する試みに取り組んでいる。心の哲学などの分析的形而上学で暗黙の方法的基盤をなす人間原理は、次の3点において有望な分野と言えよう。①物理科学の解釈問題で中核となる「観測者」を一人称的な研究対象とするため、文理融合の前衛を担うことができる。②アバンギャルドを経て芸術から美の理念を分離しつつある現代芸術界の錯綜状況を、「選択効果」の論理で学際的に分析する展望を描きやすい。③人間原理のキー概念「微調整」の歴史的源流である「デザイン論証(神の目的論的存在証明)」と「ダーウィン的自然選択説」という相対立する二大存在論を、近年の「環境美学」の動向と照合することで、社会問題への有効な批判的視点を探ることができる。以上三つの企画を、専門的論文のスタイルにとどまらず、啓蒙的クリティカルシンキングによって統合し、論理パラドクスの紹介などわかりやすい形で社会に発信しようと試みてきた。その延長線上で、個別芸術作品に関する解釈的な論考(とりわけサブカルチャーなど「芸術」と「非芸術」の境界事例の評価)や創作現場への参与を積極的に進め、具体的芸術実践と繋がった「生きた形而上学」の実演を目指している。