教 授  木下 直之  (文化資源学研究室)

所属
  • 【文化資源学研究専攻】文化資源学専門分野

兵庫県立近代美術館に学芸員として勤め、東京大学総合研究博物館に職場を転じ、それから人文社会系研究科の文化資源学研究室へとやってきた。19世紀の日本美術が重要な関心事ではあるが、写真や建物や記念碑、祭礼や開帳や見世物などが気になり、造形表現全般、物質文化全般を相手にせざるを得なくなった。そして、それらを生み出し、何らかの役割を与えて存続させる、あるいは逆に、禁止し、撤廃し、隠蔽する社会や国家の有り様にも目を向けてきた。ここでは、博物館や文化財保護という制度が当面の研究課題である。文化資源学の中に開設された文化経営学の研究には、こうした歴史的観点を持つことが不可欠だと考えている。
近年夢中になっていたのは、近代の城である。城は、明治維新とともにいったんは無用の長物と化したはずなのに、やがて文化財として認知され、さらに昨今では地域社会のシンボルとして復元され、しばしば博物館として使われ、もてはやされている。天守閣についで、各地で御殿の復元が始まっており、それは、すぐれて文化経営学の研究対象である。歴史上の城について考えるのではなく、城の姿をしたすべてのものについて考える必要がある。昨年、『わたしの城下町〜天守閣から見える戦後の日本』(筑摩書房、芸術選奨文部科学大臣賞)を上梓した。
この本から出てきたつぎのテーマは動物園である。戦後間もなく、城の中に動物園が開設されたのはなぜか、という疑問は、動物園の戦後史探索への道を開いた。1950年代になぜ「お猿電車」が普及し、1970年代になぜ突然の廃線へと至るのか、これが目下の最大の関心事である。
ほかに、『美術という見世物〜油絵茶屋の時代』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『写真画論〜写真と絵画の結婚』(岩波書店、重森弘淹写真評論賞)、『ハリボテの町』(朝日新聞社)、『世の途中から隠されていること〜近代日本の記憶』(晶文社)などの本を書いてきた。

詳細情報  2008-2009年度  2010-2011年度  2012-2013年度  2014-2015年度  2016-2017年度
研究室