2010年度第2回研究会


2010(平成22)年度第2回研究会(科研第4回研究会)

 本科研の第4回研究会は、2010年12月28日と29日に兵庫県神戸市のラッセホールで開催され、研究代表者・研究分担者・連携研究者・研究協力者合わせて12名が出席した。
 はじめに研究代表者・深沢克己より以下の報告がなされた。まず2010年度予算と執行状況が説明され、つづいて2011年度予算と執行計画の概要が示された。特に、来年度は今年度と同様、1回の国際ワークショップの開催と年末研究会合宿を行うことが確認された。さらに、2011年度以降の組織体制の変更が議論され、事務担当者の交替と連携研究者および研究協力者の身分変更がそれぞれ承認された。

 次に本年度の企画として、深沢克己編『ユーラシア諸宗教の関係史論』(勉誠出版)の合評会を研究代表者が提案し、3月末に開催することが決定し、代表者の方から執筆者およびコメンテータの調整を行うこととなった。

 つづいて2011年度に開催する予定の第2回国際ワークショップについて、開催時期と招聘予定の研究者について話し合われた。特に研究代表者と研究分担者の加藤玄の方から具体的な研究者が紹介され、各人の研究分野についてメンバー間で認識を深めることができた。さらに、他の海外からの招聘研究者を数名探す方向で意見が一致した。

 また本科研の最終年度にあたる2012年度に開催する予定である国際シンポジウムについても意見が交わされ、開催時期・開催場所を含めて複数の可能性が提示された。

 今回の研究会では実務的議論は以上であり、その後、2010年11月に刊行された前掲著書の序論を出発点として、メンバー全員が本科研のテーマと問題設定に関する総合的な討論をおこなった。そこでは、各メンバーから複数の位相からの質問が活発に出され、問題意識の共有と相互理解を深めるのに有益な時間となった。

 12月29日午前には、研究協力者の宮武志郎が、「Alliance Israelite Universelle とHilfsverein der Deutschen Juden ―オスマン帝国末期におけるユダヤ教徒コミュニティーの対立」 と題する研究発表をおこなった。19世紀末から20世紀初頭にかけて独仏の国際対立を背景にしたユダヤ教徒コミュニティー間の対立関係を論じた明快な報告で、シオニスト運動から神戸に居留したユダヤ人家系までメンバーの中から様々な質問が出され、活発な質疑応答がおこなわれた。

 研究会終了後の12月29日午後から翌日30日午前にかけて、神戸市内の複数の宗教施設を訪問し、それぞれの施設で講義を受けることができた。具体的には、29日にモスク、カトリック中央教会、シナゴーグ、そして翌30日にハリストス正教会とバプテスト教会をそれぞれ訪問した。それぞれの施設を見学し、聖職者や信徒の方のお話を伺うことにより、各宗教の日常的営為、および神戸の都市空間における異宗教・異宗派間の関係について認識を深めることができた。

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