教員紹介

松本 三和夫(まつもと みわお)教授

専門は、科学技術の社会学、環境社会学、技術の社会史。とくに、科学技術と社会と環境の間のダイナミックな相互作用の解明に取り組んでいる。これまで、科学技術と社会の相互作用をめぐる官、産、学、民4セクターのせめぎあいの探究、天災と人災の隙間で発生する「構造災」によるシステムの失敗の探究、軍産学複合体の形成過程の比較社会学研究をすすめてきた。現在は、リスク論、環境社会学、生命倫理の境界領域において、白とも黒とも決めがたい不確実性をもつ社会問題がどう生成するかに関心をよせている。演習では、きちんと社会学の古典を精読し、社会学的なものの考え方の基本をまず習得していただきたい。そのうえで、個別テーマの絞り込みと、異論に接する作法の習得ができればよいとおもう。卒論のテーマは生命、環境、技術を中心に多岐にわたる。何に関心をよせるかは大切な個性だとおもう。同時に、ゼミナールのやりとりをとおして基礎的な探究法を理解、体得していただきたい(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~miwao/index.htm)

武川 正吾(たけがわ しょうご)教授

社会政策・社会計画論を専攻。「計画・福祉」の領域を担当。現在、社会計画を社会政策の計画化としてとらえたうえで、社会政策論を社会学の立場から再(脱?!)構築することをめざしている。また、福祉国家を基軸に据えたマクロ社会学的な現代社会論の研究にも取り組んでいる。著書は、『地域社会計画と住民生活』(1992)、『福祉国家と市民社会』(1992),『福祉社会の社会政策』(1999)、『社会政策のなかの現代』(1999)、『福祉社会』(2001)など。演習は社会問題と社会政策を中心テーマにしながら基本文献の講読と学生諸君の個人研究発表を中心に運営している。前半は,社会学の「基礎体力」をつけるため社会学全般の基礎文献の講読も行っている(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~takegawa)

佐藤 健二(さとう けんじ)教授

文化・社会意識および歴史社会学の分野で研究している。日本における〈近代〉の総体的な把握がテーマだが、データ資料の具体性からいかに社会学的な想像力をたちあげるか。理論に対する感性や理解力だけでなく、素材を理論的対象にまできたえあげる方法的な構想力も大事だと考えている。卒業論文も、そのような点での実証性が要求される。著書に『読書空間の近代』(1987)、『風景の生産・風景の解放』(1994)、『流言蜚語』(1995)がある。学部での演習は、社会意識論・メディア論・文化分析の基礎文献の課題を課す一方で、それぞれの参加者の独自のレポート発表にもとづく討論を重視したいと思う。

白波瀬 佐和子(しらはせ さわこ)教授

人口変動、格差・不平等、世代・ジェンダー、について計量的分析手法を用いた研究を、専門とする。生活保障に関する公・私分担についても研究し、社会保障と家族のあり方について、比較福祉国家論の枠組みから検討を試みている。また、量的調査を中心とする社会調査法を専門とする。ちまたでは種々多様な調査が活発に行われているが、データをもとに何か導き出す時、データそのものがいい加減では議論そのものが崩れていく。社会のありよう、社会の問題をテーマとする社会学は、ややもすると誰でも簡単に社会学者になれるような錯覚に陥りやすい。そこで、社会科学の一つとしての社会学を専門とする意味、社会学的ものの見方を身につけることの意味が、一層重要になる。演習では、基本文献を読み、議論しながら、自らの研究テーマを立てて、積極的に研究にかかわっていくことを重視する。

赤川 学(あかがわ まなぶ)准教授

社会問題の社会学、セクシュアリティ・ジェンダー論、言説の歴史社会学、人口減少社会論などが専門だが、「社会調査のなんでも屋」を目指している。『セクシュアリティの歴史社会学』(1999)で取り組んだ作業をライフワークとしつつ、『子どもが減って何が悪いか!』(2004)で行ったリサーチ・リテラシー、質問紙調査に基づく計量的研究、マスメディアが発信する情報の内容分析、人々の主観的意味世界を掘り下げる聞き取り調査(生活史)なども幅広く行う予定である。演習参加者に関しては、理論だけでなく、具体的な社会問題を経験的に探求することを必須条件とする。このさい社会問題が構築される際に使われる「統計」の批判、社会問題を語る人々がもつ「理念」対立の構図と、社会問題が構築される「歴史」的過程を踏まえることを、三つの柱とする。参加者一人一人の問題設定が、討論の過程で相乗的に発展していくことを期待したい。

出口 剛司(でぐち たけし)准教授

専門領域は、社会学史及び理論社会学。とくにT. W. アドルノ、M. ホルクハイマー、E.フロム、H. マルクーゼ、J. ハーバーマス、A. ホネットらフランクフルト学派の批判理論を継承し、批判的社会理論の構築をめざしている。またそうした批判的社会理論をコミュニケーション、承認、社会的自己といった社会現象に応用し、現代社会におけるそれらの病理形態の分析に取り組んでいる。社会学とは、本質的に現実社会に対する応答である。この意味において、社会学の歩みは社会に対する「問いの集積」であり、個々の社会学理論もまた、こうした問いに答え、応答する「批判的公論」の表現でなければならない。したがって、一方の社会学史研究は問い=応答の関係が蓄積される公共的空間の分析でなければならず、他方の理論社会学は批判そのものに対する理論的基礎づけでなければならない。現在、こうした観点から、社会学理論を構成する諸要素の分析を社会史的、思想史的研究を行うことによって明らかにし、同時に、個々の理論が公共的空間において、いかに理論的に正当化されうるか、を探求している。さらに、日本の批判的社会学の遺産を「ガラパゴス社会学」という観点から再評価し、それらを活用しながら、近代化あるいはグローバル化以降の日本の社会文化をその特殊性と一般性において解明する研究を行っている。

祐成 保志(すけなり やすし)准教授

コミュニティの社会学を担当している。社会調査史やメディア研究にも関心をもってきた。コミュニティ研究は日本の社会学のなかでも伝統ある分野の一つである。しかし、従来は地域集団、住民活動、人間関係に焦点をあわせた研究が中心であり、日常生活の基盤であると同時に社会制度の結節点でもある住宅は、意外なほどに軽視されてきた。1980年代半ばから、欧州を中心に、社会学、社会政策学、心理学、人類学、地理学などを横断する「ハウジング・スタディーズ」が形成されつつある。訳書『ハウジングと福祉国家』(2014)は、この領域の画期をなしたHousing and Social TheoryKemeny, Jim., 1992)の全訳である。こうした研究を踏まえながら、コミュニティ研究の方法を構築することが目下の課題である。研究手法については、『〈住宅〉の歴史社会学』(2008)以来、歴史的な言説の読解を試みてきた。他方で、計量分析を含む社会調査にも積極的に参加してきた。演習では、理論的関心と実証的方法、「量的」手法と「質的」手法、歴史的資料と現代的事象の間を自在に行き来しうる柔軟な研究態度の獲得を目ざしている。