17  西洋古典学

1.研究室(専修課程)の活動等の概要

 西洋古典学はギリシャ語・ラテン語でしるされた文献全体を対象とする。のみならず古典古代世界の全容の把握をもめざす学問である。欧米では広範な領域を対象として永い伝統を誇る総合的学問であるが、本専修課程ではギリシャ語・ラテン語双方の基礎を固め(大学院の入試段階ですでに両古典語を必須とする)、諸ジャンルの文献に親しんだ上で、徐々に視野を拡大していく方針をとっている。
 広範な対象にくらべ講義・演習をもつ専任教員の数は2人とあまりに少ないものの、非常勤講師の援助を受け、毎年、ギリシャ語/ラテン語・韻文/散文いずれをもおおえるように努めている。また全国他大学ならびに諸外国の研究者にも随時、講演をお願いしている。
 研究室紀要(査読つき)を年1回発刊している。2006年7月に第2号、2007年7月に第3号を刊行した。


2.構成員・専門分野
 (1)専任教員
     逸身喜一郎 ギリシャ語韻文・ラテン語韻文 
    (教授)1997年度~

    片山 英男 古典文献学史・古典修辞学
    (助手)1977年度~1983年度 (助教授)1983年度~1993年度 (教授)1993年度~

 (2) 2006~2007年度の助手/助教の活動
 小池(根本)和子
  在職期間 1999年4月~2007年3月(現 慶應義塾大学 言語文化研究所 常勤講師)
  研究領域 ラテン語散文
  主要業績
   「キケロー選集」第13巻『アッティクス宛書簡集(I)』(岩波書店 2000年10月。書簡集第一巻~第四巻の翻訳及び解説を担当)
   「キケロー選集」第16巻『弟クイントゥス宛書簡集』『ブルートゥス宛書簡集』(岩波書店 2002年11月刊行。翻訳・解説)
   「ラテン文学におけるセルギウス・カティリーナ像の伝承」(平成12年度~14年度科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)研究成果報告書)
  非常勤講師引き受け状況
       1999年度~ お茶の水女子大学
       2003年度~2005年度 千葉大学
       2005年度 慶応義塾大学

3.卒業論文等題目
 (1) 卒業論文題目
    2006年度
     「ソポクレース『ピロクテーテース』について ――ピロクテーテースの「心変わり」の理由を考察する――」
     「ムーサを去りて ――『内乱』に見るルカヌスの詩作態度――」
    2007年度
     「フィクションの系譜 ――ホメロスからゴルギアス、プラトンまで――」
     「Satyricon に関する一考察 ――小説の中に組み込まれた韻文の意図――」
 (2)修士論文執筆者・題目
    2006年度
     吉川 斉「古典古代における寓話とその集成について」
     <指導教員>片山英男
    2007年度
     高梨 誠「テレンティウス『兄弟』の終幕」
     <指導教員>逸身喜一郎
     松浦高志「ギリシア初期抒情詩に見られる叙事詩の影響」
     <指導教員>逸身喜一郎




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