東京大学大学院人文社会系研究科・文学部 心理学研究室

東京大学大学院人文社会系研究科・文学部心理学研究室Department of Psychology, The University of Tokyo

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駒場からの進学希望者へ

この研究室の特色

科学的な心理学 ― それが文学部の心理学専修課程で学ぶ心理学です。行動、内観、脳活動などを測定する実験を通じて、人間の精神活動を科学的に解明するための心理学を学びます。 現在、文学部心理学研究室では、視覚、注意、学習、記憶、感情、社会認知などについて研究を行っています。
この研究室は、日本で最も古い心理学研究室です。1903年に日本で初めて設立された心理学実験室を起源としています。 ここから、東京大学の各所に、それぞれ特色のある心理学関係の研究室が分かれていきましたが、文学部の心理学専修課程は、現在に至るまでずっと実験心理学の手法に基礎をおいて研究を続けてきました。「日本で最も古い」とはいっても、 古くさい心理学をやっているわけではありません。実験心理学分野で先端的な研究を進めています。

どういう心理学を学ぶのか?

心理学専修課程で学ぶ心理学について、もう少し詳しく説明しましょう。
心理学研究室では、視覚、感覚間協応、注意、感情、人物認知、運動学習といった人間の情報処理・行動制御プロセスを対象として、科学的な方法にもとづいて先端的な研究をしています。具体的な研究方法は、研究のテーマに応じて様々です。 最も多いのは、パソコンの画面に何か課題を提示して判断をしてもらうという実験です。その課題をいろいろと工夫することで、頭の中でどのような情報処理や行動制御がなされているのかを知ることができます。他にも、MRI(magnetic resonance imaging; 磁気共鳴画像法)の測定装置を使って脳の働きを調べる神経科学的な実験から、Webページ上で実施するオンライン実験、アンケート用紙にペンで回答を記入してもらう質問紙実験まで、多種多様な実験を実施しています。
心理学専修課程に進学すると、こうした実験の方法と、そこから得られた様々な知識を学ぶことになります。2年生のAセメスターには、まず、「心理学実験演習」の授業で、心理学の代表的な実験をいくつも体験します。実験者の立場で実験をしたり、実験参加者の立場で課題に取り組んだりしてデータを集め、 それを統計的な手法で分析し、レポートにまとめて報告する訓練をします。「心理学実験演習」を補助する授業として、研究法や統計についての授業もあります。
「心理学統計」の授業では、統計的手法の意味と使い方を学びます。現代社会では、企業運営から市場調査、金融取引にいたるまで、 ありとあらゆるところで統計の知識が必要になってきていますから、大学院に進学する人はもとより、就職を目指している人でも、学生時代に統計を学んでおいて 無駄になることは決してないでしょう。
本郷に進学してからは、もうすこし高度な「心理学実験演習」の授業が用意されていて、心理学の教科書に載っているような結果が知られている実験ではなく、どういう結果になるかわからない最先端の実験に参加することになります。 一方、講義 (「心理学概論」「心理学特殊講義」など) を通じて心理学の知識を広く身につけ、ゼミ (「心理学演習」) を通じて特定の分野の知識を深めていきます。専任の教員が行う授業のほか、毎年、外部から非常勤講師を招いて、発達心理学、動物心理学、神経心理学、認知神経科学など、バラエティに富んだ講義を提供しています。
4年生になると、卒業論文に取り組むことになります。心理学専修課程の卒業論文は科学論文であり、実証的な研究を行い、その研究の背景や目的、方法、結果やその解釈を記します。多くの場合、自分自身のアイデアを教員や大学院生らと相談しながら膨らませ、実験を実施します。卒業論文のデータが、その後、国際的な学術雑誌に掲載された論文のなかで報告されることもしばしばあります。

卒業生はどういう方面に進んでいるか?

例年、1~2割ほどの学生は、心理学あるいは心理学に関連する他の分野の大学院に進学しています。大学院に進学した卒業生の大半は研究者になり、 東京大学をはじめとする全国の大学や研究所で心理学関係の研究・教育に携わっています。海外の有名大学の教授になっている卒業生も少なくありません。
学生の多くは、民間企業や官庁に就職しています。就職先は様々で、特に決まった進路というものはありません。金融業、製造業、出版業など、多岐に渡っています。IT関係の職業に就く卒業生もたくさんいます。変わり種としては、卒業してから他大学の医学部に進学して医師になったりした卒業生もいますし、 国会議員から大臣になった卒業生もいます。調査会社や広告代理店、官庁などに就職した場合には、心理学の知識や手法が直接活かせることもあるようです。厚生労働省などは、 心理職の採用もしています。近年、多くの企業で、理科系と文科系の両方のセンスを備えた人材が求められるようになっており、本専修課程卒業生は、その点でも歓迎されることが多いようです。