ハイデガー哲学の研究から出発して、19世紀半ばから20世紀にかけての生の哲学、実存哲学、現象学、解釈学およびその周辺テクストの批判的読解を試みながら、人間的実存の本質構造に関する現象学的・解釈学的探究を行ってきた。関心領域は、感情と理解、言語、行為、時間意識、共同存在、芸術、宗教など多岐にわたるが、これらの現象を私たちが現象学的に考察しようとする際、いかにいわゆる超越論哲学と生の哲学という二つの思考様式の必然的な絡み合いのなかで、時として自己矛盾に追い込まれながら物を考えざるをえないのかを明らかにしたい。そのことを通じて、いまいちど「言葉をもつ動物」としての私たちにとっての「生の意味」を問いつづけることが課題である。
『ハイデガーの言語哲学──志向性と公共性の連関──』
岩波書店、2002年.
ハイデガー・フォーラム編『ハイデガー事典』
昭和堂、2021年7月.
納富信留・檜垣立哉・柏端達也編『よくわかる哲学・思想』
ミネルヴァ書房、2019年4月.
秋富克哉・安部浩・古荘真敬・森一郎編『続・ハイデガー読本』
法政大学出版局、2016年5月(全406頁を編集の他、「34 和辻哲郎、九鬼周造」pp.321-328を執筆)
秋富克哉・安部浩・古荘真敬・森一郎編『ハイデガー読本』
法政大学出版局、2014年11月(全406頁を編集の他、「序奏 神学という由来」pp.4-6、「7 内存在・気遣い・真理 『存在と時間』Ⅲ」pp.68-78を執筆)
野矢茂樹編『子どもの難問』
中央公論新社、2013年11月.
松永澄夫・浅田淳一編『自己(叢書「哲学への誘(いざな)い──新しい形を求めて」第V巻)』
東信堂、2010年11月(「呼びかけられる私、呼びかける私 ―「自己」の由来と行方について―」pp.170-206を執筆.)
山本真弓編『文化と政治の翻訳学──異文化研究と翻訳の可能性』
明石書店、2010年5月(「翻訳―あるいは虚無を通じた「私たち」の変容」pp.218-240を執筆.)
ハイデッガー研究会編『ハイデッガーと思索の将来──哲学への〈寄与〉──』
理想社、2006年9月(Ⅲ章「共同体と倫理」所収の論考「共同体という底無しの没根拠―「別の始元への移行」の倫理的含意―」pp.139-158を執筆.)
「西田における「自覚」と「非合理的なるもの」」、
『世界哲学の中の西田哲学』(哲学会編、哲学雑誌、第135巻第808号)、2021年10月、pp.60-80.
「「祈り」について──聖書とW・ジェイムズを手がかりに──」
『立命館大学人文科学研究所紀要No.120』、2019年12月、pp.30-60.
「「エレメント」を問うとは、どういうことか──松永澄夫著『経験のエレメント』をめぐって」
『経験の構造』(哲学会編、哲学雑誌、第133巻第806号)、2019年10月、pp.19-38.
「生ける世界内存在の運動としての気遣い(ゾルゲ)」
『現代思想 総特集=ハイデガー』(2018年2月臨時増刊号)青土社、2018年1月、pp. 95-110.
「運命を生きること 九鬼周造の運命論にかんする一考察」
『現代思想 総特集=九鬼周造』(2017年1月臨時増刊号)青土社、2016年12月、pp. 106-117.
「感情と言語 ハイデガーとアンリのあいだで」
日本ミシェル・アンリ哲学会編『ミシェル・アンリ研究』(Vol. 6)2016年、pp. 47-71.
「生きてあることにとって真であること」
『真理の再生』(哲学会編哲学雑誌第129巻801号)2014年10月、pp. 68-84.
「言語・存在・自己への問い―あるいは死すべき各自性の共同生起について―」
西日本哲学会編『西日本哲学年報 第21号』、2013年10月、pp. 137-154.
「ひとりあること/共にあること—和辻とハイデガーをめぐる試論—」
2011-2012年度科学研究費補助金基盤研究(B)研究成果報告書(課題番号20320007、 代表者:立命館大学谷徹教授)、2013年6月、pp. 131-141.
“Being Aware of One’s Own Life”
Proceedings of the 6th BESETO Conference of Philosophy, 2012年1月, pp. 253-260.
「形而上学の根源をめぐって―ハイデガーのプラトン解釈の一側面―」
『理想』第686号、理想社、2011年3月、pp.125-137.
「「もののあはれ」と「自己触発」」
『日本語の哲学』(哲学会編哲学雑誌第123巻第795号)、有斐閣、2008年9月、pp.108-124.
「「翻訳」について―或いは諸言語の社会性の間隙に生成するものについての試論―」
山口大学人文学部異文化交流施設編『異文化研究』(vol.2)、2008年3月、pp.144-152.
「共同体の没根拠と存在の変容―ハイデガーの共同体論の帰趨―」
哲学若手研究者フォーラム編『哲学の探求』(第34号)、2007年6月、pp.7-20.
「「原因」と「理由」の彼岸への問い―ハイデガーの哲学的企図の再吟味―」
ハイデガー・フォーラム編電子ジャーナルHeidegger-Forum(vol.1)、2007年4月、pp. 6-21.
「生の物語的な救済について」
『なぜ人々は物語なしに生きていけないのか―多メディアの中の物語の発生・展開・終焉―』、平成16-18年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究成果報告書(課題番号16602015、代表者:成城大学北山研二教授)、 2007年3月、pp. 36-46.
「「美」の人称性について―美しいのは誰にとってか―」
『実存と政治』(実存思想協会編実存思想論集XXI)、理想社、2006年6月、pp. 117-135.
「時の過ぎ去り―人称的世界の時間的構造の探究のための準備的考察―」
『山口大学哲学研究』(第13巻)、2006年3月、pp. 23-36.
「「理由(ラチオ)の空間」と哲学の問い」
『現象学年報』、日本現象学会編、2004年11月、pp.53-65.
「人間と動物の差異をめぐるハイデガー的思考の再検討」
『西日本哲学年報』、西日本哲学会、2003年10月、pp. 79-92.
「「言明」の成立基盤に関するハイデガーの理論と「世界」の公共性」
『哲学』(No.53)、日本哲学会、法政大学出版局、2002年4月、pp. 217-226.
「分裂の生起と自己の再生・・・ハイデガーの自由論の次元へのアプローチ」
『論集20』(東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室)2002年3月、pp. 81-93.
「行為の始まりと終わり―自由の非所有に関する試論―」
『はじまり』(哲学会編 哲学雑誌第116巻第788号)、2001年10月、pp. 95-114.
「変動する真理と現実性の概念-ハイデガーの問いが目指したもの-」
『悪』(実存思想協会編 実存思想論集XIV)、理想社、1999年8月、pp. 187-204.
「語られたものの現前と非現前…ハイデガーの言語論の一側面」
『ギリシア・中世哲学研究の現在』(哲学会編 哲学雑誌第113巻第785号)、有斐閣、1998年10月、pp. 201-217.
「“見えるようにすること” と“制作すること”…ハイデガーの言語論解釈のための準備的考察」
『論集16』(東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室)、1998年3月、pp. 1-14.
“Zu Heideggers Methode der hermeneutischen Phänomenologie”
『論集15』(東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室)、1997年3月、pp. 1-12.
「ハイデガーの『存在と時間』における“言葉”の問題」
『論集13』(東京大学文学部哲学研究室)、1995年3月、pp. 73-83.
「変様する世界と現存在の自己了解…ハイデガー『存在と時間』における変様概念の考察」
『論集12』(東京大学文学部哲学研究室)、1994年3月、pp. 188-199.
日本哲学会
実存思想協会(理事)
日本現象学会
ハイデガー・フォーラム(事務局代表)
西日本哲学会
哲学会(理事)