文学部のひと

 

文学部とは、人が人について考える場所です。

ここでは、さまざまな人がさまざまな問題と取り組んでいます。

毎月ひとりずつ、「文学部のひと」をご紹介します。

編集部が投げかけた質問はきわめてシンプル、

ひとつは「今、あなたは何に夢中ですか?」、

そして、もうひとつは「それを、学生にどのように伝えていますか?」。

 

立花 政夫教授(心理学研究室)

第1の答え

「ムチュウですか?」と問われれば、「確かに霧中です」としか答えようがありません。私は視覚神経科学のうちでもとりわけ初期視覚の情報処理機構を研究してきました。ものが見える仕組みの個々の神経機構(イオンチャネル、伝達物質、シナプス、受容体、神経回路など)は少々わかってきたのですが、全体の中で、また、行動との関連で、それらがどのように働いているのか、なかなかわかりません。研究にもファッションがあり、多くの研究者が入り乱れての競争があり、多少わかったつもりになると次の新たなファッションに向かうといった有様です。しかし、よくよく眺めてみると、おいしそうなものを食い散らかしたままで、全体像は見えず、真の理解には至っていません。なんとか霧が晴れて視界が広がるといいのですが。。。

競争中は無我夢中、それでよいのだ「莫妄想」??? 何か変だと感じたら夢中で逃げるに如かず。。。

 

第2の答え

研究は個別のテーマで、ギリギリとやっていくしかないのですが、全体における位置づけを常に問う必要があります。また、何を目指しているのか、何を明らかにしたいと思っているのか、その熱い思いを持ち続けることが大事です。概念を問い直すこと、新たな手法を編み出すこと。自分にとって腑に落ちないことは曖昧なまま信じないことです。

演習での学術論文や専門書の講読では、徹底的に批判的に内容を理解することを求めています。また、自分の研究とどのように関連しうるかを学生に問い詰めます。実験方法をきちんと理解しているかどうかを確認し、データの取り扱い方、図の表示法、結果の解釈を議論します。ひどい論文の場合、批判の矛先はその論文の講読を選択した学生、その論文の掲載を認めたレフェリーやエディターにまで向かいます。数少ないまともな学術論文に出会う喜びを知り、近い将来、そのようなすばらしい論文を自らが書く動機付けになることを期待して。

 


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