文学部のひと

 

文学部とは、人が人について考える場所です。

ここでは、さまざまな人がさまざまな問題と取り組んでいます。

毎月ひとりずつ、「文学部のひと」をご紹介します。

編集部が投げかけた質問はきわめてシンプル、

ひとつは「今、あなたは何に夢中ですか?」、

そして、もうひとつは「それを、学生にどのように伝えていますか?」。

 

山口 勧教授(社会心理学研究室)

第1の答え

いつも飽きないのが研究のことです。よく趣味は何かと聞かれますが、「研究です」と答えています。しかし、日本人(とくに男性)は仕事以外に趣味のない人が多いので、人間として不完全だ、とよく言われていますね。そのため、「趣味は研究です」と答えるときには、何となくはずかしいような気がしています。しかし、海外の研究者と話していると、研究大好き人間が多くて、こちらも安心できます。

ここ十年くらいは、海外(とくに欧米)における、日本人に対する紋切り型の理解に対する反論をするための実験をしています。日本人の謙虚さを誤解した「日本人は自尊心が低い」という議論や、甘えの現象を単なる依存と誤解した議論などに対する反論のための実験を繰り返しています。最初は少数派ですが、だんだんと理解者が増えてきています。それがうれしくて、ますます夢中になる、という好循環になっていると思います。

 

第2の答え

研究の面白さを学生に伝える目的は、自分と同じように研究大好き人間を作り出すことです。このことは、海外の研究者とよく話をするのですが、簡単ではありません。研究計画のこつとか、論文の書くときのスキルはなかなか独習できないものなので、どこの国でも、教員のやっている研究に学生さんが加わり、一緒に経験してもらうのが一般的だと思います。研究の企画から論文の執筆・投稿まで一緒に経験し、だんだんと学生さんも研究の面白さがわかってきます。

 

もちろん、問題の発掘から自分でした方が、研究の面白さを経験しやすいと思います。私が指導している学生には、自分の研究領域も開拓するように言います。しかし、初心者が面白い問題をうまく発掘し、研究計画を立てるのは容易ではありません。どうしても打率(よい研究成果が得られる率)が低くなってしまいます。ですから、自分の考えたテーマだけでなく、二つ以上のプロジェクトに参加することを勧めています。

 


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