人文社会系研究科・文学部の野崎歓准教授(仏文学)が、昨年刊行された著書『異邦の香り――ネルヴァル「東方紀行」論』(講談社)により、このたび第62回読売文学賞(研究・翻訳部門)を受賞されました。

 『異邦の香り』は、19世紀フランスの詩人・作家のネルヴァルが約一年かけてオリエントを旅し、書き上げた『東方紀行』を読み解く試みです。選評では「ネルヴァルについての知識もない人間が読んでも、この知的で洗練された大著は実に面白い」「この本自体が国境を、文学のジャンルを越えた旅になっている」と称賛されています。

   専門的な研究と、評論・エッセイのあいだの壁を取り払いたいと語る著者の資質が見事に発揮された一冊であり、受賞を心から慶賀したいと思います。