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総括 班主催沖縄シンポジウム「東アジアの海域交流――琉球という視点から――」




主催:総括班
日時:2009年12月12日(土)10時~17時30分
会場:沖縄県立博物館講堂 

プログラム:
受付 9:30~
【午前の部】10:00~12:00
 〔講演〕
   田名 真之(沖縄国際大学)
     「琉球の科〔科挙〕について」 
    コメント:近藤 一成(早稲田大学、科挙班)

 〔研究発表1〕
   Gregory Smits (ペンシルバニア州立大学)
     「琉球の儒教について」 *天候不順により欠席。渡辺美季が代読
    コメント:中村 春作(広島大学、日中儒学班)

【午後の部】13:30~17:30
 〔研究発表2〕
   八木 光(東海大学、造船班)
     「進貢船の性能について」 
    コメント:岡本 弘道(関西大学、日明関係班)
        
 〔研究発表3〕
   山里 純一(琉球大学)
     「琉球の符札について」 
    コメント:藤田 明良(天理大学、海港地域班)
 〔研究発表4〕
   高津 孝(鹿児島大学、出版文化班)
     「琉球の出版文化について」
    コメント:陳 先行(上海図書館副館長)

 総合討論

  沖縄シンポジウムは、にんぷろの最終年度5年目の最後に位置する全体集会、国際シンポジウムとなる。そのため、今回の特定領域科研の中心テーマに密接 に関連する、エスノセントリズム、脱中心化、海域交流、伝統文化などの基本的問題系について研究、考察を重ねてきた結果が十分反映するものをと考え、標題 を「東アジアの海域交流―琉球という視点から―」とした。
  中国に於いて発達した科挙制度は、朝鮮、ヴェトナムばかりでなく、琉球においても行われていた。ところが、これまでの科挙研究史において、琉球の科挙 は取り上げられて来なかったという問題がある。東アジアで唯一、科挙が行われなかった日本との比較研究的視点からも、朝鮮、ヴェトナムと合わせ、琉球の科 挙を東アジア全体の中に位置づける必要性があり、琉球科挙の研究者として著名な田名真之(沖縄国際大学・教授)先生をお迎えし、琉球の科〔科挙〕につい て」という題目で講演をしていただいた。講演に対してのコメントは礼を失する嫌いもあるが、本科研科挙班の近藤一成(早稲田大学)先生を煩わし、中国宋代 科挙の専門家としてご発言いただいた。また、儒教圏の一部として琉球を考察するという点から、欧米の研究者からの見解をペンシルバニア州立大学のグレゴ リー・スミッツGregory Smits先生に「琉球の儒教について」という報告をお願いしていたが、米国の天候不順のため、来日が適わなかった。発表は、準備された原稿とパワーポイ ントに基づき、渡辺美季(東京大学)先生の代読によって進行した。コメントは、本科研日中儒学班の中村春作(広島大学)先生に、日本側の研究を踏まえ、ご 発言いただいた。また、本科研は、理系分野との共同研究も重要な研究項目として存在し、琉球進貢船の再現モデルを作成し海流との関係を研究した八木光(東 海大学)教授による「進貢船の性能について」はその研究成果である。既に、英文によって研究成果は公表されており、今回はその概要について、パワーポイン トとビデオを活用してご紹介いただいた。コメントは、本科研日明関係班の岡本弘道(関西大学)先生にお願いし、歴史学的観点から、琉球の船の問題について ご意見を発表していただいた。また、琉球は、琉球独自の信仰体系に加え、中国や日本から伝播した種々の宗教の影響をうけた非常に複雑な宗教状態にある。こ うした状況を反映した「符札(ふうふだ)」について、琉球大学の山里純一教授にご発表をお願いした。山里先生は、「符札」について既に著書を2冊刊行され ておられるが、新たなフィールド調査に基づき興味深い内容の紹介がなされた。コメントは、本科研海港地域班の藤田明良(天理大学)先生にお願いし、藤田先 生が最近精力的に調査研究されておられる媽祖信仰とその日本的変容と言う点からご意見を賜った。本シンポジウムの開催責任者である高津孝も、出版文化班を 代表して「琉球の出版文化について」発表し、既存の出版文化研究の問題点と琉球を視点とすることになり、どのような新しい出版文化像が展開可能かについ て、広義の琉球版という観点を提示し発表を行った。コメントは、ちょうど、国文学研究資料館に来日中の中国書誌学の専門家陳先行(上海図書館)先生にお願 いし、本科研出版文化班の陳捷(国文学研究資料館)先生の通訳により、中国書誌学の立場から、琉球の位置づけについて発言をいただいた。
  本シンポジムは、田名先生、山里先生という沖縄の研究者のご協力無くしては実現できなかった。あらためて感謝を捧げたい。
  本シンポジウムの企画運営は、鹿児島大学の高津が当たったが、科研メンバーとして協力、ご尽力いただいた渡辺美季(東京大学)先生と、沖縄にあって諸 事全般の折衝にあたられた榮野川敦(うるま市教育委員会)氏には特に感謝を捧げたい。
(文責:高津孝)

【リンク】
沖縄県立博物館
【関連書籍】
『沖縄近世史の諸相』(1992年9月 刊)
Visions of Ryukyu: Identity and Ideology in Early-Modern Thought and Politics(1999 年2月刊)
『日本の時代史18 琉球・沖縄史の世 界』(2003年11月刊)
『呪 符の文化史』(2004年6月刊)
『増補琉球関係漢籍目録―近世琉球における漢籍の 収集・流通・出版についての総合的研究』(2005年3月刊)
『海域アジア史研究入門』(2008 年3月刊)
『東 アジア内海世界の交流史―周縁地域における社会制度の形成』(2008年3月刊)
『宋代 中国科挙社会の研究』(2009年2月刊)

【これまでの関連活動】
海 港地域班シンポジウム「東アジアの海域交流と南さつま坊津」(2005/11/26)
2006 年中国社会文化学会大会シンポジウム「科挙からみた東アジア―科挙社会と科挙文化」〔プログラム〕(2006/7/9)
“海 域”関連各班共催「徹底討論『シリーズ 港町の世界史』をめぐって―東アジア海 域史研究の未来―」(2006/07/22-23)
造 船班講演会「船からみた日中交流史」(2006/7/29)
寧 博関係班主催研究会「日明関係史のなかの九州:薩摩・博多・寧波」(2006/12/02)
現地調 査研究部門主催国際シンポジウム「海をむすぶ祈り―東アジア海域交流 と信仰―」(2007/02/11)
九州華 僑華人研究会・寧博班合同研究会「九州と明清中国――海港をむすぶ人と 文化――」(2007/10/13)
ミュンヘン国際会議「東アジアの地中海」(The East Asian Mediterranean―Maritime Crossroad of Culture,Commerce, and Human Migration)(2007/11/2-3)
出 版文化班シンポジウム「中国東南部の出版文化と日本の出版文化」「中国出版文 化の社会史」(2007/12/13・15)
2008 年度総括班シンポジウム「東アジア海域史研究の課題と新たな視角」(2008/11/15)
重 点項目《東アジアにおける〈訓読〉の思想文化》国際シンポジウム「儒学テキストを通しての近世的思考様式の形成―日中にお ける対照的研究」(2008/12/13-14)
寧博関 係班・浙江 工商大学日本文化研究所共催国際シンポジウム「浙江普陀と東 アジア海域の文化交流」(2009/01/10)
上海国 際会議「世界史における東アジア海域」 (2009/6/18-19)

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