《東アジアの視点から見た
五山文化》について:
にんぷろ重点項目(ハ)《東アジアの視点から見た五山文化》では、日本一国文化史観では傍流扱いであった中世(鎌倉・室町時代)の五山文化を、中国伝
来文化の受容・発展からなる世界性を備えたものとして捉え、旧来欠如していた多分野学際的な視角から再評価することにより、日本文化史における中世の独自
性を明らかにするとともに、近世につながる要素・萌芽を見出すことを試みる。なお、ここにいう「五山」とは、狭義の五山の禅宗寺院のみを指すのではなく、
五山の周囲にあってその影響を受けた文化圏域を広く指している。
夏季セミナー「東アジ
ア海域交流の中の五山文化」
- 日時:2008年8月25日(月)~28日(木)
- 講義(10:30~12:00 13:30~15:00)
- 討論(15:30~17:00)
- 会場:同志社大学今出川新町
キャンパス渓水館1階会議室(京都市上京区新町通)
- プログラム:
- 〔講義1〕8月25日(月)10:00~17:00
- 小島 毅(東京大学、王権論班)
- 「〈五山文化〉の提起」
- 〔講義2〕8月26日
- 原田 正俊(関西大学)
- 「日本仏教史からみた五山禅宗」
- 〔講義3・4〕8月27日(水)・28日(木)10:00~17:00
- 住吉 朋彦(慶應義塾大学、詩文受容班)
- 「日本漢籍の展開と禅林の学問」
-
- 受講者:15名
- 本セミナーは、東アジア海域交流の視点のもとに五山禅林の文化について多角的に考察を加えるものであり、担当講
師が順次講義を行い、それに基づいて参加者全員で討議を行った。各講義の概要は以下の通り。
- 第一日目の小島毅氏の講義は、「五山文化研究の意義」および「中巌円月『中正子』を読む」の二つを基軸に行われ
た。まず、「五山文化研究の意義」においては、これまでの日本文化史研究において五山の文化が軽視されてきたことの持つ意味を総括し、そのうえで日本中世
において「文化センター」ともいうべき役割を果たしていた五山の文化を多角的に研究することの意義を提起した。そして、中国留学体験も持つ五山の僧中巌円
月とその著『中正子』を取りあげて、思想史の視点から儒学との連関も視野に入れつつ検討を加えた。
- 第二日目の原田正俊氏の講義は、日本仏教史の視点から五山とその禅宗について総合的に検討を加えた。その内容は
大きく「鎌倉時代の寺社勢力」、「五山禅宗寺院の特質」、「顕密諸宗と禅宗」とからなり、中世においてなおも強大な勢力を有していた旧仏教(顕密体制)と
の関係性を基軸としつつ、禅宗移入の背景、禅宗の寺院制度の実態とその特質など、主として五山禅林をとりまく社会的なコンテクストを整理して論じた。ま
た、上記講義と合わせて、セミナー会場近くの相国寺を訪れ、各種建築・美術作品などを実見しつつ禅宗寺院についての解説を行った。
- 第三・四日目の住吉朋彦氏の講義は、書誌学・出版文化史の視点から、五山禅林における漢籍の受容、および五山版
と称される書物の出版について検討を加えた。旧来の唐鈔本に加えて、五山においては宋刊本が大量に将来される。講義では、まずこの宋刊本将来の状況につい
て取りあげて検討した。五山においては、単に中国の書籍を受容するだけにとどまらず、更には独自の出版も盛んとなる。講義では、五山における書籍の出版に
ついても取りあげて検討した。貴重な画像を駆使して、詳細な解説が行われた。
-
なお当初は上記に加えて、堀川貴司氏(鶴見大学)による「五山文学における詩―創作と注釈―」が予定されていたが、事情により中止となった。代わって、住
吉朋彦氏が二日間にわたって講義を行った。
【関連書籍】
・『日本中世の禅宗と社会』(1998年12月刊)
・『太平記を読む』(2008
年10月刊)
- 【「東アジア海域交流の中の五山文化」研究活動】
- ・文献資
料研究部門主催シンポジウム「東アジア海域文化交流のなかの五山禅林」(2007/9/8、11/23)
- ・中
国社会文化学会2008年度大会シンポジウム「禅と東アジア」(2008/7/6)
- ・2008年度
夏季セミナー「東アジア海域交流のなかの五山文化」(2008/8/25-28)
- ・《五山文化》第1回研究会
(2008/12/14)
- ・《五山文化》第2回研究会「文化の翻訳・文化の複合―五山文化
研究のさまざまな視点―」(2009/3/7)
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