- 共催:基盤研究(B)「宋代社会経済史語彙解釈のデータベース化」
- 日時:2008年8月21日(木)10時~17時
- 会場:東洋文庫
プログラム:
司会:青木敦
- 〔第一部〕「宋代の法典と経済」
- 報告1(10:00-10:40)
- 劉 馨珺 「唐宋の保人について」(中国語)
- 報告2(10:40-11:20)
- 青木 敦 「南宋の民事的法規概觀」
質疑応答(11:20-11:50)
- ---昼食(11:50-12:50)---
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- 〔第二部〕「10~14世紀北東アジアにおける政治と文
化」
報告3(12:50~13:30)
見城 光威 「王延徳『使高昌記』について」
報告4(14:10~14:40)
豊島 悠果 「北宋末期麗宋交流の一側面」
〔第三部〕個別論題・動向紹介
報告5(14:40~15:20)
原 瑠美 「南宋臨安における西湖の意義」
報告6(15:20~16:30)
伊藤 一馬・田 由甲・横山 博俊(五十音順)
「近年における宋代史の回顧と展望」
質疑応答(16:30~17:00)
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法文化班は、特定領域研究の全体の一部として、法律・法文化分野を扱ってきた。具体的成果としてこれまで、中世日本法と宋代法の類似性、宗族などにおける台湾と中国の制度の差異、また明清と宋代の法運用の差異などについて、新たな知見を少なからず得ることができた。さて今回の「宋朝の法文化と経済制度」においては、これまで、法文化班の各班員による言わば「一点突破型」な方法が十分な研究成果を挙げてきたことから、最終年度の成果とりまとめにむけ、これらをインテグレートし、主として(1)宋の法文化、(2)法律制度を視野に入れた宋時期の北東アジア全体の制度史、という二方面から研究討論を行った。
すなわち、これまでの3年の活動を通じ、東アジア海域諸社会における宋の法制の影響、具体的には出訴期限や越訴に関する宋の民事法の日本中世法への影響の可能性、そしてその宋の法文化自体の明清とは異なった特性、といった二点が成果として明らかになってきたが、四年目を迎え、これらのファクトファインディングを当該時期の東アジア全体の中に位置づける作業が必要となった。そこでこの研究報告会においては、第一部「宋代の法典と経済」において法文化班班員二名がこれまでの研究の成果を確定し、それを受けて第二部「10~14世紀北東アジアにおける政治と文化」で本研究班としては新たな協力者二名を得て、高麗および高昌国といった他国との国家間交流が如何に行われたかを検証すべく、遣使というミクロかつ実証的な課題に即して議論した。そして第三部では、本研究班の出発点たる、唐律令後の東アジア世界を見つめる起点たる宋朝の位置づけを、できるだけマクロな視野から行うべく、環境・生態系にまで目を広げた時代的特質、そして、この会の研究会において共有されるべき研究史的回顧を行った。具体的論点は以下の通りである。
- ◇報告1:劉馨珺
- 「唐宋の保人について」
- 『唐律』『天聖令』にも「責保」規定は見られるが、宋代においては取引の複雑化とともに保人の役割が重要になり、合法的な書鋪戸には保識人三名が義務づけられ、また重疊案件などでは牙保の責任が問われるといった規定が見られるに至った。
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- ◇報告2:青木 敦
- 「南宋の民事的法規概觀」
- 南宋に見られる詳細かつ具体的な民事的な法令を概観するとともに、その中でも重疊交易に関する規定には、抵当を許さない原則が見られる。それは複雑化した経済実態の中で法により紛争処理をしようとする唐宋の統治の一つの限界と考えることができる。
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- ◇報告3:見城光威
- 「王延徳『使高昌記』について」
- 北宋・王延徳の著名な『使高昌記』を用い、宋と高昌の関係を、自然環境の視点をも含めて検討した。
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- ◇報告4:豊島悠果
- 「北宋末期麗宋交流の一側面」
- 宋麗間の国交が復活した神宗代以降、宋は遼の冊封を受けた高麗と活発な使節交流を行い、徽宗代には一種のピークを迎える。同時期の高麗においては、諸制度の面で宋の影響が顕著化したことが指摘できる。
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- ◇報告5:原瑠美
- 「南宋臨安における西湖の意義」
- 西湖を南宋の都城・臨安の一部として捉え、南宋期に行われた西湖の整備状況から臨安と西湖の密接な関わりを検討し
た。南宋時代に西湖が果たした機能は、水利・水運に留まるものではなく、政治・軍事・経済・文化・生活面においても重要な役割を担っていた。
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- ◇報告6:伊藤一馬・田由甲・横山博俊
- 「近年における宋代史の回顧と展望」
- 本報告では、報告者それぞれの関心の所在により、軍事制度・文書制度、地方行政・法制、経済・財政に焦点を当てて、近年の成果を中心に研究史的回顧を行った。さらに、マクロな視点からの宋代史の位置付けについて展望を述べた。
前回の国際シンポジウム「宋代法文化研討会 in台北」(2006.12.17)同様、必ずしも参加者の数を揃えるのではなく、高度の専門性を有した研究者の参加のみを呼びかけたため、今回も参加者は十名に絞ったが、浙江大学・包偉民教授、東洋文庫・斯波義信教授、元青山学院大学・安野省三教授、大妻女子大学・土肥祐子教授らの参加を得、日本語および中国語によって、主として実証的論点について、活発な討論が行われた。
法文化班は、にんぷろ全体の中でも、どちらかと言えば平均年齢の高い班である。それだけに、宋代法と日本法の関連付け、唐宋から明清への中国法の変化、東アジアにおける台湾法文化の特質など、平成18~19年度にはすでに、議論の骨格を作ることができた。そして20年度以降、それを検証・発展させる過程で、今回のように大学院生クラスの若い研究者を育成することができたのも、一つの成果であると班員全員、自負している。
(文責:青木敦)
- 【これまでの関連活動】
- ・2005年度法文化班国際研討会「中国の法制と法文化」(2005/11/13)
- ・2006年度法文化班国際研討会「宋代法文化研討会 in 台北」(2006/12/17)
- ・2008年度法文化班国際研討会「16~20世紀中国の商業・商法・商店経営」(2008/12/19)
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