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第21回講演会「宋代法文化研討会 in 台北」
主催:文献資料研究部門法文化班
共催:科研費基盤研究(C)「江西~湖南を中心とした宋朝「政区」の境界に関する研究」(代表:青木敦)、基盤研究(B)「近代世界システム以前の諸地域システムと広域ネットワーク」(代表:桃木至朗)
日時:2006年12月17日 13:30-18:00
場所:「逸邨旅館」(台北市北投区)
講演1:小川 快之(東洋文庫・(研究部)臨時職員)「宋代東南沿海部における法秩序に関する初歩的考察」(関于宋代東南沿海地域法秩序的初歩考察)
講演2:津田 芳郎(北海道大学文学部教授)「若干の宋代法の特異性について―例外か、原理的転換か、或いは…?」(關於宋代法律的特殊性:例外? 原理的轉變? 或者…?)
講演3:青木 敦 「宋代の民事的法律条文の構造と日本の中世武家法」(宋代民事法条的結構與日本中世武家法)
講演4:青木 敦「岸本美緒「土地市場と「找価回贖」問題」を読み宋代法典の特殊性に及ぶ」(由岸本美緒「土地市場與找價回贖」問題一文、論宋代法典的特殊性)
司会:津田 芳郎
趣旨説明:青木 敦
参加者:15名(うち特定領域構成員4名)
 
 これまでの約2年にわたる研究成果の中間報告およびこれに対する国際的なフィードバックが本講演会の目的であり、中央研究院・黄寛重教授、嘉義大学・劉馨珺教授らこの分野を代表する海外学者、またこの分野を研究する台湾の大学院生クラスの若手を加え、宋代の法文化の特殊性というこの班の根本テーマについて講演・討論を行った。
 討論内容は宋代の民事的立法の背景、元・明の法制との比較、法の意味、土地交易や地価と立法との関係、健訟問題、家族法への朱子学の影響など、この分野の国際的なホット・イッシューが中心となった。様々な観点、そして更なる新たな問題点が提起され、これは今後の班員の研究活動の中で発表されてゆくであろうが、例えば「宋代法は例外か」という従来からの中国法制史で問われてきた疑問に対しては、日本・ヨーロッパ・イスラーム法との比較などから、宋代法こそ普遍的であり、明清の中国法が却って異常である、との論点も示された。また台湾側からは、宋代には法としても慣習としても存在したものが明代以降慣習としては存在しつつ法令から消えていった例、さらに女子財産権の台湾の近年の研究に対する日本側からの反応への疑問なども提出された。
 この会議では、総花的な研究発表会ではなく、少数ながら専門性を持った特定テーマ専門家による議論という当初の目的を達し得たと同時に、日本人報告者が提出した日本語を交えたペーパーの内容報告を中国語で行い、台湾人研究者との討論も中国語によって行う、という新たな国際会議の形式が有効であることが明らかとなった。部分的に専門用語が聞き取れない場合、ホワイトボードを用いたり、また古典漢文史料の解説部分は日本人が日本人向けに簡単に日本語で解説を行うなどのケースはあったものの、通訳を介さない小規模かつ高い専門性をもつ内容について、著名な教授から大学院生までが身分・言語・国籍の隔てを忘れ、自由に白熱した議論を繰り広げるという、今後の国際学術会議の一つのあり方への実験としても、成功であったと言えよう。
(文責・青木敦)
 
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