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ニューズレター
ワークショップ「東アジア史における貨幣と信用」
貨幣論班主催
開催日:2006年12月01日(金)13:00より、12月02日(土)13:30より
場所 :東京大学山上会館地階002号室
参加者18名(含む海外1名)
 
12月1日
 井上正夫「17世紀の朝鮮半島における銅銭流通開始の国際的契機について」
要約:1650年代に平安道で導入した中国銅銭が、比較的円滑に流通に入った事例や、1640年代の開城での流通銅銭が朝鮮政府の使用強制による結果でないことは、朝鮮政府の権力から離れたそれらの中立性が、流通の信認の基礎であることを示す。それゆえ、朝鮮半島の銅銭流通の有無を考える場合には、従前の経済発展段階論から説明するという方法を放棄し、銅銭は、交換がある社会で「常に流通する可能性を持つ」という理解に立つ必要がある。
 川戸貴史「中近世移行期日本の流通構造と貨幣―悪銭の登場をめぐって―」
要約:銭種を問わず一枚=一文とする中世日本の秩序は、15世紀後半に悪銭の登場によって動揺が始まる。この原因について、日本の流通構造との関係から考察した。中世日本では求心的流通構造が発達したが、15世紀後半に隔地間流通が不安定化した。一方で地域市場の発達を促す。貨幣需要に応える過程で、個々の地域で独自の貨幣流通秩序が形成された。よって銭貨の地域性が現れ、地域を越えて移動すると悪銭と評価されるに至った。
 石井香世子 「北タイ山地民の保持貨幣とその今日的意味」
要約:本発表の目的は、北タイ観光の場で「みやげ物」の飾りに使われている“ビルマの 貨幣”の流通ルートを辿り、内陸交易圏が今も“生きている”ことを明らかにすることにあった。既存研究では、北タイは、近代国家タイへの包摂と国境の実体化に伴って、バンコクを中心とした国民経済に組み込まれた/内陸交易圏から遮断されたとされてきた。しかし、北タイの観光市場で、土産物に装飾品としてつけられている“ビルマの貨幣”から見ると、内陸交易圏の存在が浮かび上がってくる。北タイは、国民経済と同時に内陸交易圏にも属しているのではないだろうか。
 
12月2日
 高木久史「日本中世後期の売掛金・買掛金について」 
要約:本報告では一五・一六世紀における掛取引・売掛金・買掛金に関する史料の検出ならびにその歴史的性格の分析を行う。徳政や徳政令に際しての売掛金の扱いの変遷、遠距離交易での掛取引、支払期日と超過に伴うペナルティ特約、商人相互間の売掛金の持ち合い、国質・所質、即時売買強制法等に関する事例を確認する。掛取引を初めとする信用取引の当該時期における実施は従来は消極的に評価されてきたが、見直しの必要がある。
 中川すがね「近世の商業金融と両替商」
要約:本両替の手形振過に対する融資が商業金融の中核であり、高利の日歩は 1760~80年代の金利低下の要因である。問屋の金融機能として、商品発送か蔵入と同時に内金を貸す「為替付」は元禄期(1688~1704)に遡るが、仕入金貸付は手形流通が一般化する18世紀後半以降に普遍化する。また同時期に問屋-仲買の掛売が盆暮決済から5節季制となるが、これは問屋が節季を「限月」として手形で行う帳合取引の開始と関係がある。
 
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