集英社 高度教養寄付講座(平成27~29年度)
次世代人文学開発センター 先端構想部門

 


柴田元幸 元特任教授

 

集英社高度教養寄付講座は、集英社公開講座(平成25~26年度)を継承発展させて、平成27~29年度の3年間の時限で設置された。

寄付講座には、専任教員として特任教授1名・特任准教授1名・特任助教1名(平成29年度は特任教授2名・特任准教授1名)を置き、他に各年度3名ずつの非常勤講師を委嘱して、後期教養教育科目の授業、総計21科目を開講した。また、柏の葉サテライトにおいて、新療育創成科学研究科の修士課程大学院生を対象とする新領域創成科学特別講義を各タームに1科目ずつ開講し、柏キャンパスに在籍する大学院生たちに人文学の授業を提供した。

また、公開講座に引き続き公開講演会を各年4回ずつ開催し、幅広い年齢層の多くの来会者を得た。

以上の講演会および授業の個々の題目は、以下に表形式で掲載している。

 

活動報告

平成25年度 東大文学部集英社公開講座
 「ことばを読む ひとを知る」  

第1回 太宰治と志賀直哉-小説の「文体」を考える

   講師 安藤 宏 教授(日本近代文学)

第2回 中国ナショナリズムの起源

   講師 吉澤誠一郎 准教授(中国史)

第3回 黙阿弥『三人吉三』を読む

   講師 古井戸秀夫 教授(歌舞伎・演劇)

第4回 漫画のセリフについて

   講師 荒木飛呂彦 氏(漫画家)

第5回 日系アメリカ作家トシオ・モリの世界

   講師 平石貴樹 名誉教授(アメリカ文学)

第6回 『万葉集』のことばの世界

   講師 多田一臣 名誉教授(日本古代文学)

第7回 縄文人と私たち

   講師 設楽博己 教授(考古学)

第8回  フランス映画と愛(アムール) -『天井桟敷の人々』を読む

   講師 野崎歓 教授(仏文学・映画)

第9回 人が人に物語ることについて

   特別講師 川上未映子 氏(作家)

第10回 カッサンドラー 未来が見えるのに誰にも理解されない女

   講師 逸身喜一郎 名誉教授(ギリシャ古典文学)

第11回 誤読?

   講師 河野元昭 名誉教授(日本美術史)

第12回 日本近代史から考える憲法問題

   講師 加藤陽子 教授(日本近現代史) 

 

平成26年度 東大文学部集英社公開講座
 「ことばを読む ひとを知る」  

第1回  今日のアメリカ文学について

   講師 柴田元幸 氏(アメリカ文学・翻訳)

第2回  3.11後のことば-死者と縁

   講師 中島岳志 氏 (北海道大学准教授・近代政治思想史)

第3回  ノンフィクションと外国語

   講師 高野秀行 氏 (ノンフィクション作家)

      内澤旬子 氏 (イラストルポライター)

第4回  時間と永遠とのあいだで-有限な時を生きること-

   講師 熊野純彦 教授 (倫理学・哲学史)

第5回  日本語に入った仏教用語を探る

   講師 蓑輪顕量 教授 (仏教思想史)

第6回  古代ギリシア人の宗教とは?

   講師 桜井万里子 名誉教授 (歴史学・古代ギリシア史) 

第7回  江戸の周縁

   講師 吉田伸之 名誉教授 (歴史学・日本近世史)

第8回  音楽は音の芸術?  --音楽を取り巻くことば-

   講師 渡辺裕 教授 (音楽学)

第9回  魯迅と莫言、現代中国帰郷文学の系譜的研究

     --トルストイ『アンナ・カレーニナ』を補助線として--

   講師 藤井省三 教授 (現代中国文学・映画)

第10回  デューラーの悩み-ドイツ人にとっての美とは何か-

   講師 秋山聰 教授 (西洋美術史)

第11回  恋愛における最大の苦しみ

     --ダンテと宮廷風恋愛の伝統-- 

   講師 浦一章 教授 (イタリア文学)

第12回  源氏物語の深さと美しさ

   講師 藤原克己 教授 (日本文学・平安文学)

 

平成27年度 寄付講座講演会・座談会

開設記念講演会 2015年5月10日(日) 読む・書く・学ぶ 小野正嗣氏講演

   小野正嗣 渡部泰明 中村雄祐 柴田元幸

第1回講演会 2015年5月23日(土) 

   レオナルド・ダ・ヴィンチ  - 稀代の素描家にして思索家

   講師 小佐野重利大学院人文社会系研究科教授

第2回講演会2015年7月4日(土) 公開座談会 2015年の源氏物語

   マイケル・エメリック 角田光代 藤原克己 柴田元幸

第3回講演会 2015年10月3日(土)

   春画とはなんだろう〜誰がそれを好色画から猥褻ノ物品に変えたのか

    講師 木下直之 

第4回講演会 2015年11月21日(土) 

   アカデミズムとパフォーマンスのあいだで〜研究・翻訳・創作・上演

    柴田元幸 小島ケイタニーラブ 古川日出男 岩切正一郎

    管啓次郎 那須佐代子

 

平成28年度 寄付講座講演会・座談会

第5回講演会平成28年5月22日(日) 

   スティーヴン・ミルハウザー朗読会

   司会・通訳 柴田元幸

柏の葉サテライト講演会 平成28年5月28日(土) 

   ミケランジェロ  - 作品と神格化された生涯-

   講師 小佐野重利大学院人文社会系研究科教授

第6回講演会 平成28年7月2日(土)  詩の翻訳 – 欧・漢・和 

   講師 齋藤希史大学院人文社会系研究科教授

第7回講演会 平成28年11月19日(土)  パスカル『パンセ』を読む

   講演者 塩川徹也 対話者 野崎歓  

第8回講演会 平成28年12月10日(土) 

   中国語に敬語があるか? -呼び掛けと微笑みのポライトネス-

   講演者 木村英樹 

 

平成29年度 寄付講座講演会・座談会

第9回講演会 平成29年6月4日 高度教養教育の現状と課題

   講演者 ユキオ・リピット(ハーヴァード大学教授)

   熊野純彦(文学部教授)

   マリアンヌ・シモン及川(文学部准教授)

第10回講演会 平成29年7月29日 和歌・短歌を楽しむ 

   講演者 久保田淳(東京大学名誉教授) 

   聞き手 渡部泰明(文学部教授)

第11回講演会 平成29年11月19日 ロックミュージックと現代思想

   講演者 鈴木 泉(文学部准教授)

第12回講演会 平成29年12月9日 ヨーロッパの文学

   講演者 喜一郎(東京大学名誉教授)

       大宮勘一郎(文学部教授)

       阿部賢一(文学部准教授)

 

第9回講演会 高度教養教育の現状と課題

 

 

第10回講演会 久保田名誉教授 和歌・短歌を楽しむ

 

 

 

 

第11回講演会 鈴木准教授 ロックミュージックと現代思想

 

 

第12回講演会 ヨーロッパの文学

 左から柴田特任教授、阿部准教授、大宮教授、逸身名誉教授

 

 

柏の葉サテライト(フューチャーセンター)公開講演会

「レオナルド—稀代の素描家にして思索家—」

 

 

 

2015年度

 

 

2016年度

 

 

2017年度

 

 

総  括

 平成27年4月に発足した集英社高度教養寄付講座は、3年間の開講期間を満了して平成30年3月末日をもって終了した。

 文学部で開講した一般講義(大学院共通科目)では、学部生の履修者数が昨年度に比べ44%増の760名(一昨年度は2.7倍の527名)と、平成27年の開講期から比較して2期目、3期目とも大幅に増えた結果となり、学生にとって魅力ある講義科目であったものと判断できる。大学院科目についても52%増の96名(一昨年度は30%増の63名)と、一般講義科目と同様の判断ができる結果となった。また、新領域創成科学研究科(共通科目)特別講義では同研究科院生48名(昨年度と同程度)が履修しており、後期教養および高度教養科目としての当初の目的は果たしたものと言える。また、新領域創成科学研究科大学院生の履修者については、昨年度と同様に、本学学部あるいは国内外の大学において人文系科目を履修していない院生が多く、授業アンケート結果から文理融合の教育効果があったものと考える。

 また、人文学教育の社会還元を目的として計12回(年4回)実施した一般公開講演会は、20代から50代の方に多数参加いただき、生涯学習として高齢の方が多く参加される学内の他の講演会とは、異なる参加者層であった。さらに、講演会後に回収したアンケート結果においては、多くの方から賛辞をいただき、社会で働く若者層および社会の中心となって働く熟年層の方々が、高度教養教育を身近に感じたいと考えていることの確証を得ることができた。