教 員

 梶原 三恵子 教授
 
専門分野
サンスクリット文献学を専門とする。
 古代インドにおいて約一千年にわたって成立したヴェーダ文献を主資料として、各種の古代インド家庭儀礼の構造と発展を研究することによって、インド文明史の源流の一端を明らかにすることをめざしている。家庭儀礼の範疇に属する諸儀礼は、資料がヴェーダ新層からポスト・ヴェーダ時代の文献に集中しているが、これらを詳細に解析記述する作業を積み重ねるとともに、ヴェーダ初期および中期の文献に散見される断片的資料をも掘り起こすことによって、古代インドにおける諸家庭儀礼の原型とその発達・変遷をたどる。一方で、現代インドで行われている家庭儀礼の実態に注意を払い、古代ヴェーダ家庭儀礼との連続性および非連続性についても考察する。当面の研究課題はヴェーダ期の入門と学習に関連する諸儀礼である。入門・学習儀礼はヴェーダ文献の伝承と深く関わるものであり、これらを研究することで、ヴェーダの生成と伝承というインド学の大きなテーマに新たな光をあてることをもめざす。 
主要研究業績
  • "The `grhya' Formulas in Paippalada-Samhita 20."
    ZINBUN: Annals of the Institute for Research in Humanities, Kyoto University, No. 42, pp. 39-62, 2011.
  • "On the Grhyasutra of the Vadhula School."
    Journal of Indological Studies, Nos. 20/21, pp. 25-42, 2009.
  • "The Upanayana and Marriage in the Atharvaveda."
    The Vedas. Texts, Language & Ritual (ed. A.Griffiths and J.E.M.Houben), Groningen, pp. 417-431, 2004.
  • 「ヴェーダ入門儀礼の二つの相−通過儀礼と学習儀礼−」
    『佛教学セミナー』78, pp. 1-20, 2003.
  • 『古代インドの入門儀礼』 法蔵館, 2021 
リンク
   梶原研究室HP  /   サンスクリット語HP
 橋 健二 助教
 
専門分野

主な研究対象は、古代インド叙事詩『マハーバーラタ』である。『マハーバーラタ』は、批判校訂版では約七万五千詩節におよぶ長大な作品であるが、それは一人の作者によって著されたものではなく、核となる英雄物語にさまざまな教説、神話、物語が挿入された結果である。『マハーバーラタ』は紀元前4世紀頃から紀元後2世紀頃までの間にいくつかの編纂段階を経て成立したものと考えられているが、その編纂時期は、古代インドにおいては、仏教やジャイナ教などの諸宗教が興隆し、またそれに対抗して、正統バラモン教の側からもそれまでの社会のあり方や思想が見直され、新たな社会及び思想の体系を提示する試みが盛んに見られた時期でもある。『マハーバーラタ』の特にその編纂後期に挿入されたと思われる部分は、このような正統バラモン教の思想的試みが反映されていると考えられ、そこに見られる教説や神話、物語にどのような意味が込められているのかを検証している。
また国際共同研究として、Florinda De Simini准教授(ナポリ東洋大学)が主導するシヴァダルマプロジェクトにおいて、R. Sathyanarayana教授(フランス極東学院、ポンディシェリ)とともに中世のシヴァ教文献『シヴァダルモーッタラ』の地獄に関する章の校訂研究を行なっている。

主要研究業績
  • Takahashi, Kenji. 2019. “The Manas and the Manovaha Channel in the Varsneyadhyatma of the Mahabharata: A Critical Reading of Mahabharata 12.207.16-29.” Journal of Indian Philosophy 47: 421-452.
  • Takahashi, Kenji. 2019. “Reconsidering the Development of the Accounts of Creation and Dissolution in Manavadharmasastra 1 and Mahabharata 12.224-225.” Journal of Indological Studies 30/31: 129-171.
リンク
   researchmap  /   シヴァダルマ・プロジェクト



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