科目一覧 (2010年度)

担当教員 授業科目名 副題 学期 曜時 備考
氏 名
内   容
 教授  土田 龍太郎  印度語学印度文学特殊講義  サンスクリット典籍史 冬学期  月・4   学部
 ヴェーダ・二大叙事詩・美文藝・演劇等について概要を解説する。
随時、ほかの緒分野のサンスクリット文献、すなわち法典・詩論書・文法書などについての基本事項にも言及するであらう。最後に簡単な試験を行ふ。
印度語学印度文学演習Ⅱ 叙事詩説話研究 通年 月・5 大学院共通
 二大叙事詩と諸説話それぞれの問題をサンスクリット語・パーリ語・プラークリット語のテキスト解讀をとほして考察してゆきたい。
サンスクリット語文法 サンスクリット文法 通年 火・3 学部
 サンスクリット語文法の基礎智識を身につけることを目標とする。
E.D.Perry, A Sanskrit Primer 
辻 直四郎、『サンスクリット文法』
を講本とする。参加者には練習問題の豫習が必要となるであらう。 
印度語学印度文学演習Ⅰ Sanskrit Reader講讀 通年 火・5 学部
 例年どほりの、Ch.R.Lanman,A Sanskrit Readerを購本とし、サンスクリット語文藝作品の基礎的讀解力を養ふための演習である。参加者はサンスクリット文法の基本をすでに修得していることが要められる。毎日充分な豫習が必要となるであらう。ヒトーパデーシャ部分の終わりまで讀むことを目標にしたい。
演習 dharma文献とkama文献 通年 金・2 大学院
 本年度は以下の諸問題を採り上げ、関連書文献を精讀しながら考究したい。
 一、カーヴィヤミーマーンサーの構成と内容
 二、カーマシャーストラのテキスト形成
 三、林棲生活の諸相
参加者には充分な豫習が要められる。   
教授 高橋 孝信 印度語学印度文学演習Ⅱ タミル文献購読 通年 火・3 大学院共通
 夏学期は現代タミル語の習得を目的として、タミル語の新聞記事を集めた読本Tamil Newspapar Readerを読む。冬学期は近代タミル語の読解を目的とし、19世紀末から今世紀初頭にかけての、タミル古典(1~3世紀を中心とする)の「再発見」に中心的な役割を果たした U.V.Swaminathaiyer (1855-1942)の自叙伝を読む。写本の発見・校訂の過程で窺える真摯な態度に、学究の徒として学ぶことの多い有益な書であるのはもちろん、当時の社会・文化に関しても第一級の資料である。
参加者はタミル語初等文法を終了している必要がある。 テキストはこちらで用意する。
印度文学史概説 南インドの言語と文化 通年 火・4 学部
 インド文学と言うと、北インドのサンスクリット語やヒンディー語などのものを想起するが、この授業では、南インドの4州を中心に用いられているドラヴィダ語族の文学を概観する。同語族には、タミル、カンナダ、テルグ、マラヤーラムの主要4語の他に25以上の言語が属し、話者人口は1億7千万人を越えるが、授業では、それらの中でも最も古い文学の歴史を持ち(紀元前2世紀頃から)、ドラヴィダ文学を代表すると見なされるタミル文学を中心にし、カンナダ、テルグ、マラヤーラム諸語の文学も見ていく。 
印度語学印度文学演習Ⅰ タミル語文法 通年 水・4 学部
 2千年を越える歴史を持つタミル語は、時代、韻文と散文、文章語と口語、方言(地域方言と社会方言)などによって大きく異なる。これら様々なタミル語の学習の基礎となるのが、19世紀半頃から急速に発達し始めた散文を読む力の習得である。この授業では、そのような近現代の散文が読める力を養うことに主眼をおくことにする。
 夏学期に文法を終了し、冬学期は平易な散文を読む。テキストはこちらで用意する。
演習 タミル文献研究 通年 金・5 大学院
 本年も昨年に引き続き、サンガム文学と通称される後1~3世紀のテキストの中から適宜テキストを選び購読していく。古典テキストは、文法を修得し文献学的に詰めていくだけでは読めない。この授業では、それらのテキスト購読を通じて、古典理解のためにどのような知識が必要か見ていく。
教授 永ノ尾 信悟 演習 インド祭祀文献研究 通年 水・3 大学院
教授 熊本  裕 印度語学印度文学特殊講義 イラン語文献学概説 通年 月・4 大学院共通
 コータン・サカ語は、中期イラン後東部方言の一つで、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、豊富な文献が敦煌およびコータン周辺の遺跡から発見され、少数の学者の数十年にわたる努力により、徐々に解読されてきた。その内容はインド文化の影響を強く受けた仏教文献中心だが、非宗教的な文献も見いだされる。本年の授業では、なるべく多様なジャンルについて代表的なテクストを紹介することを目的とする。
講師 矢島 道彦 印度語学印度文学特殊講義 パーリ語学研究 通年 水・5 大学院共通
  テーラヴァーダ仏教の聖典語であるパーリ語は、インドの言語史のなかでは中期インド語(≒ プラークリット)の古層に位置し、アショーカ王の法勅文についで古い言語である。ジャイナ教白衣派の聖典語であるアルダマーガディーは、パーリ語よりもやや新しいが、共に聖典の最も古い部分は、東インドのマガダ地方の方言によって歌われ、あるいは語られていたことが知られている。パーリ語を学ぶことは、中期インド語を学ぶことにほかならない。この授業では、とくにこうした中期インド語の視点からパーリ語について学習する。サンスクリット(梵語)との相違点も明示しながら進めるので、その学習にも役立つであろう。
講師 松村 淳子 印度語学印度文学特殊講義 中世スリランカ仏教文献研究 冬学期 木・3 大学院共通
 13世紀スリランカで著された物語集『ラサヴァーヒニー』は、ヨーロッパ人によるパーリ研究の最初期から注目され、校訂本の作成が目指されたが、これまでのところ部分的な校訂にとどまり、残念なことに現在では仏教研究者の関心が他へ向き、あまり注目されていない。しかしながら、中世期のスリランカは、上座仏教の学問と布教のセンターとして、スリランカの学僧による著作活動が最も盛んな時期であった。しかもこの時期の著作は、今は失われた、いわゆるシーハラ・アッタカター(シンハラ語による古注釈や古伝承)の伝統を色濃く受け継いでおり、パーリ聖典の注釈文献理解や、仏教史の理解のために非常に重要な著作が多くある。また、パーリ文献研究では、イギリスのPari Text Societyの校訂本や英訳が研究の標準となってしまい、その背後にある写本から研究することが少ないが、現地の文字で書かれた写本を読むことにより、ローマ字パーリ語文献がよりよく理解できることが多いので、この授業では、上記物語集から、スリランカ仏教史にとって重要な役割を果たしたカーカヴァンナ・ティッサ王の物語を、シンハラ文字刊本、写本、『マハーヴァンサ』等関連文献を参照しつつ読み、スリランカ仏教の初期歴史とともに、パーリ文献の校訂の問題を考える。

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