科目一覧 (2009年度)

担当教員 授業科目名 副題 学期 曜時 備考
氏 名
内   容
教授 土田 龍太郎 印度語学印度文学演習Ⅱ 叙事詩説話研究 通年 月・5 大学院共通
 平成二十年度の同題目の継續である。本年度はマハーバーラタのみでなくラーマーヤナをも視野に入れ、仏教・ジャイナ教説話との関連などいくつかの問題について考究したい。できればプラークリット語文献をも讀みたいと考へている。
サンスクリット語文法 サンスクリット文法 通年 火・3 学部
 サンスクリット語文法の基礎智識を身につけることを目標とする。
E.D.Perry, A Sanskrit Primer
辻 直四郎、『サンスクリット文法』
を講本とする。参加者には練習問題の豫習が必要となるであらう。 
印度語学印度文学演習Ⅰ Sanskrit Reader講 通年 火・5 学部
 例年どほりの、 Ch.R.Lanman, A Sanskrit Readerを講本とし、サンスクリット語文藝作品の基礎的讀解力を養ふための演習である。参加者はサンスクリット文法の基本をすでに修得していることが要められる。毎日充分な豫習が必要となるであらう。ヒトーパデーシャ部分の終わりまで讀むことを目標にしたい。
演習 サンスクリット諸論書・美文藝研究 通年 金・2 大学院
 本年度は以下の諸問題を採り上げ、関連書文献を精讀しながら考究したい。
 1.大説話集ブリハットカターの形成と諸傳本の成立
 2.カーマシャーストラのテキスト形成
 3.林棲生活の諸相
参加者には充分な豫習が要められる。   
教授 高橋 孝信 印度語学印度文学演習Ⅱ タミル文献購読 通年 火・3 大学院共通
 19世紀末から今世紀初頭にかけて、それまで様々な理由で忘れ去られていたタミル古典(1~3世紀を中心とする)の写本が発見され、批判校訂作業を経た後に出版された。この授業では、この古典の「再発見」に中心的な役割を果たした U.V.Swaminathaiyer (1855-1942)の自叙伝を読む。写本の発見・校訂の過程で窺える真摯な態度に、学究の徒として学ぶことの多い有益な書であるのはもちろん、当時の社会・文化に関しても第一級の資料である。参加者はタミル語初等文法を終了している必要がある。 
印度文学史概説 南インドの言語と文化 通年 火・4 学部
 インド文学と言うと、北インドのサンスクリット語やヒンディー語などのものを想起するが、この授業では、南インドの4州を中心に用いられているドラヴィダ語族の文学を概観する。同語族には、タミル、カンナダ、テルグ、マラヤーラムの主要4語の他に25以上の言語が属し、話者人口は1億7千万人を越えるが、授業では、それらの中でも最も古い文学の歴史を持ち(紀元前2世紀頃から)、ドラヴィダ文学を代表すると見なされるタミル文学を中心にし、カンナダ、テルグ、マラヤーラム諸語の文学も見ていく。 
印度語学印度文学演習Ⅰ タミル語文法 通年 水・4 学部
 2千年を越える歴史を持つタミル語は、時代、韻文と散文、文章語と口語、方言(地域方言と社会方言)などによって大きく異なる。これら様々なタミル語の学習の基礎となるのが、19世紀半頃から急速に発達し始めた散文を読む力の習得である。この授業では、そのような近現代の散文が読める力を養うことに主眼をおくことにする。
 夏学期に文法を終了し、冬学期は平易な散文を読む。テキストはこちらで用意する。
演習 タミル文献研究 通年 金・5 大学院
 古典テキストは、文法を修得し、文献学的に詰めていくだけでは読めない。本年はサンガム文学と通称される後1~3世紀のテキストの中から適宜テキストを選び、古典理解のためにどのような知識が必要か見ていく。 
教授 高橋 孝信 他 印度語学印度文学特殊講義 インドの社会と文化 教養 火・5 学部
 インドの古代・中世を中心とした社会や文化に、さまざまな角度からせまる。インド語インド文学とインド哲学仏教学との両研究室、および東洋文化研究所の教員(高橋,土田,丸井,斎藤,下田,永ノ尾)によるリレー講義であるが、単なる概説にとどまらないような講義となる予定である。
教授 永ノ尾 信悟 演習 インド祭祀文献研究 通年 水・3 大学院
 前期はアタルヴァヴェーダとヤジュルヴェーダにおけるインドラの武器であるヴァジュラの記述を扱う部分の講読を行う。
 後期はヴェーダ文献におけるルドラ崇拝の記述を検討する。
教授 熊本  裕 印度語学印度文学特殊講義 イラン語文献学概説 通年 月・4 大学院共通
 イスラム以前のイラン語の詩の構造は、少数の研究者によって解明の努力が行われているが、不完全な表記による資料の制約と伝承の不確実性によって、現在も多くの問題を残している。本年度は、この分野での研究史をたどりながら、中期ペルシア語・パルティア語・アヴェスタ語新層などの韻文(と見なしうるもの)のテクストを読むことによって、この問題を理解しようと試みる。必要に応じて、アヴェスタ語古層およびイスラム期の新ペルシア語という性質の異なった韻律の体系も参照する。
[参考文献]W. B. Henning, “The Disintegration of the Avestic Studies” (Selected Papers  II, 151 ff.), “A Pahlavi Poem” (id. 349 ff.)
講師 矢島 道彦 印度語学印度文学特殊講義 パーリ語学研究 通年 水・5 大学院共通
  テーラヴァーダ仏教の聖典語であるパーリ語は、インドの言語史のなかでは中期インド語(≒ プラークリット)の古層に位置し、アショーカ王の法勅文についで古い言語である。ジャイナ教白衣派の聖典語であるアルダマーガディーは、パーリ語よりもやや新しいが、共に聖典の最も古い部分は、東インドのマガダ地方の方言によって歌われ、あるいは語られていたことが知られている。パーリ語を学ぶことは、中期インド語を学ぶことにほかならない。この授業では、とくにこうした中期インド語の視点からパーリ語について学習する。サンスクリット(梵語)との相違点も明示しながら進めるので、その学習にも役立つであろう。
講師 沼田 一郎 印度語学印度文学特殊講義 ダルマ文献研究 通年 水・2 大学院共通
 ダルマ文献は元来ヴェーダの祭儀文献の一部門として成立したものである。従って、それを「法典」として理解することには問題がある。しかし、ある時期以降のダルマ文献は、具体的な「法」規定を主題としている。ダルマ文献の歴史の中でそのような転換点になったのは『マヌスムリティ』であり、「ダルマ」の概念それ自体も大きく変化している。本講義では文献史や研究史を概観しつつダルマ文献の変容の過程を跡づけ、インド文化史上の重要性を再認識するための手がかりとしたい。以下の諸項目について、1回ないし数回ずつ講じる予定である。
1.文献紹介と研究史(原典出版、翻訳、研究など)
2.ダルマスートラの内容概観とその構造
3.『マヌ』の構造と新古の層
4.『マヌ』の注釈文献
5.『マヌ』の革新性(出家主義、王権論、司法、贖罪など)
6.他分野文献との連関(『実利論』『叙事詩』『仏典』など)
7.『ヤージュニャヴァルキヤスムリティ』の新しさと後代への影響
8.『ヴィシュヌスムリティ』の特殊性
9.後期スムリティとダルマニバンダ文献

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