日本では一般的に平和教育というと、広島・長崎の惨事等を伝える反戦教育が中心であり、宗教への言及は稀である。しかし、この状況は日本特有というわけではなく、他国でも平和教育の文脈で宗教教育が語られることはこれまであまりなかったと言われる。世界宗教者平和会議に本格的な平和教育委員会が設置されたのも近年のことである。
このパネルは、アジア、アフリカ、欧米各国のそれぞれのアクチュアルな社会・政治情勢の中で、平和構築のための宗教教育にはどのような試みがあるか、何が必要とされているかについての報告と討論を中心とする。
このような問題は宗教界内部のものとみなされがちだが、宗教を信じる者は不寛容で戦争を起こしがちだというような考えを非宗教者が持つ場合、それもまた偏見と対立のもととなる。ゆえに、公教育においてさまざまな背景をもつ生徒にいかに宗教を教えるかを論じる第一パネルを土台に、さらに議論を深めたい。
司会:
宮永國子 (ハーバード大学&個の可能性研究会)
パネリスト・論題: (アルファベット順)
ザキユッディン・バイダウィ (スラカルタ・ムハマディア大学) |
「多文化主義神学に基づく宗教教育による調和・平和構築―現代インドネシアのための代替策―」 |
金 鍾瑞(ソウル大学) |
「現代韓国における宗教間対立と宗教教育」 |
コンスタンス・アンバサ・シサーニャ(ケニヤッタ大学) |
「平和教育を求めて―アフリカの平和構築における宗教の役割」 |
ネリー・ファン・ドーン・ハーダー(ヴァルパライゾ大学) |
「キリスト・イスラム・ユダヤ教における宗教的平和構築の学習」 |
|
レスポンダント:
アーシュラ・キング(ブリストル大学)
|