バンダアチェにおける救援・復興活動
ズルカルナイニ・アブドゥッラー
(インドネシア・バンダアチェ 国立イスラム研究所 イスラム法比較研究部長)

[ 3月26日(土) 19:20-20:20 会場:高輪プリンスホテル・クラウンルーム]

企画:
J・ショーン・ランダース(カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校)
奥山倫明(南山大学)

主旨:

周知の通り2004年は、未曾有の大災害——スマトラ島沖地震とインド洋沿岸大津波——とともに幕を閉じた。現地の被災者、その家族親族にとっては日々が復興の途次にあるとはいえ、一瞬にして何十万人という犠牲者を生んだこの悲劇の終幕にはいまだほど遠く、さらにその何倍、何十倍という被災者の現状は、一端が報道されているとはいえ想像を絶するものであろう。

この災害は、私たちが普段意識することのない自然の計り知れない暴力的な力の前における人間の非力、無力を思い知らせるものとなったが、大災害のただなかで、そしてその後の復興に向けた長い道のりにおいて、人間が支えあい、励ましあい、立ち直っていく力を認識しなおす契機ともなりえよう。特に、こうした状況下で世界各地から寄せられている救援と連帯の動きは、ささやかながら希望のしるしとも見えるかもしれない。

ともに地球上に生きる地球市民として私たちは何ができ、何をしていくべきなのか、こうした問いは、遠くの他者への理解のみならず、自己への理解を深めることにもつながりうる。それはそのまま、宗教にとっても——個々の宗教者であれ宗教団体であれ——こうした危機的な状況下での宗教の理念と実践を、神学的・教学的に再検討する課題を与える問いと言えるだろう。

本セッションでは、壊滅的な被害を受けたバンダアチェの国立イスラーム研究所より、Zulkarnaini Abdullah氏を迎え、宗教団体の救援・復興活動を含む現地の状況について、被災者自身からの報告を聞く予定である。そこから宗教の役割、また可能性について、考察を深めることを目指す。