口頭表現Aクラス  自由テーマ発表原稿

美術史学の紹介

 

美術史学  陳 藝婕(中国)

 

 美術史学について、ご存知ない方が多いようです。ですから、私はここで紹介したいと思います。

 去年結婚したイギリスの王子と王妃は、二人とも大学で美術史学を専攻していました。このように美術史学は王室や貴族たちに愛されている学問です。

 その理由は、ルネサンス時代から始まり、18世紀のイギリスで盛んに行われるようになった「グランドツアー」の伝統と関係深いです。

若い貴族たちは学業の終了時、イタリアなど古い歴史のある文化的な先進国に行って、文化・歴史・芸術などの知識を学び、人生の経験を豊かなものにしました。したがって、古物研究や、芸術品の収蔵と研究には非常に熱心だったのです。その伝統は、今も修学旅行として続いているそうです。

この18世紀に、美術を歴史とつないだ、ドイツの古典主義学者ヴィンケルマン(Winckelmann)という人が現れます。この人は「美術史の父」と言われた学者です。

1844年、ベルリン大学で、美術史学が学科として正式に認められました。最初は、美術史学は絵画、彫塑と建築に集中して研究されました。

19世紀になると、アロイス・リーグル(Alois)というオーストリア人がここに工芸美術を導入します。

20世紀には、美術史学と哲学・社会学・考古学・心理学・言語学・文学・経済学など広い分野と緊密なつながりのある「ニューアートヒストリー」が登場します。その代表人物はイギリス出身のT.JClarkです。

中国で、美術史に関わる一番早い内容は、魏晋南北朝時代の書画品評です。唐時代の『歴代名画記』は完成された絵画通史として、ヨーロッパの同様の本―ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』―より800年早いです。付け加えると、このヴァザーリもしばしば美術史の父と呼ばれています。

美術史学が近代の学科目として中国に導入されたのは、20世紀前半です。1956年、私の出身校の中国中央美術学院では、中国で一番早く美術史学専攻の学科が設立されました。

美術史学とは、芸術作品によって時間と空間を通り越し、古代の人々の思想と交流するものだ、と私は考えています。

例えば、今月、三菱一号館美術館でエドワード・バーン=ジョーンズ(Burne-Jones)の展覧会が開かれます。百年前のイギリス人バーン=ジョーンズは古代伝説および装飾工芸に関心を持っていました。それは彼の絵画を通じてよく理解できることです。

以上です。ありがとうございました。