読解Ⅲクラス  読解感想文

「舞踏会」の感想

 

宗教学宗教史学  朴 炳道(韓国)

 

 芥川龍之介の「舞踏会」で、誰が読んだとしても面白いと思われる部分は、最後のところであろう。明子という人物が19歳の時にあった出会いを回想する前半部と、その出会いの相手がフランスの有名な小説家であって彼の小説に登場した人物が、即ち“明子”であるということが明らかになる後半部によって、この話は構成されている。

 このフランスの小説家が実在していないとしても、この小説はそれなりの意味があると思うけれど、芥川は実在の小説家と小説をそのまま素材として扱っている。それゆえ、この小説だけではなくピエール・ロチの『秋の日本』などの作品まで考慮して分析すれば、「舞踏会」の結末の意味がただひとつには決まらないことが、この小説の真の妙味である。

 ふたつの作品の女が同じ“明子”かどうかは確かではないが、そうであるとしたら、その出会いの二人の記憶が異なっている部分がおもしろい。