読解Ⅱクラス  現代社会とストレス

現代社会とストレス

 

現代文芸論  マフニョワ ダリア(ロシア)

 

 現代を生きる我々はストレスが病気の原因となることをよく知っている。もちろん、適度のストレスは人間の生活に緊張を与え、成長や発達をもたらすが、やはりストレスはできるだけ少ないことが望ましい。だが、現代社会はストレスが多いのみならず、人間関係が浅くなってしまった。

時代の変化とともに、社会構造は農業中心の社会から、工業・商業中心の社会に移行し、家族主義、村落共同意識など多くの伝統的な体制が崩れてきた。それによって「一人ぼっち」の人間が増えた。彼らは他人と交わることができない。

 では、「一人ぼっち」症候群を生み出すストレッサーの一つである社会的な環境・人間関係を詳しく見てみよう。「一人ぼっち」の人間の問題というのは他の人とうまくコミュニケーションを取れないということなのだが、それは「自己同一性」に深く関係するものである。これには下の図のように、二つのパターンがある。

パターン2のように、自己同一化できない場合は、自信を失う、自分を責める、自尊心が低いなどの現象が見られ、他人の期待に応えられないと思い込み、人を避けてしまう。

 ところで、ストレッサーにうまく対処しようとすることを、「ストレスコーピング」と言うが、ストレッサーによって過剰なストレスが慢性的にかかると、心身への様々な悪影響が考えられるので、健康を維持するにはうまくストレスコーピングすることが必要になる。

ストレスコーピングの方法は、大きく以下の二つに分けられる。それはいわゆる「問題焦点コーピング」と「情動焦点コーピング」である。問題焦点コーピングとはストレッサーそのものに働きかけ、それ自体を変化させて解決を図ろうとするものである。つまり、人間関係がストレッサーである場合、相手の人に直接働きかけて問題を解決する。一方、情動焦点コーピングとはストレッサーそのものに働きかけるのではなく、それに対する考え方や感じ方を変えようとするものである。つまり、人間関係がストレッサーである場合、それに対する自分の考え方や感じ方を変えるのである。

 先ほどの図にストレスコーピングを適用してみると、パターン2のように、「自分から見た自分」、「他人から見た自分」、「自分が理想とする自分」が全く一致しない場合、現代は機械が人間を助けてくれる時代であるから、技術を使って自分の精神的な問題を解決できる。インターネットが「自分が理想とする自分」を作ってくれるのである。それは決して問題焦点コーピングではなく、むしろ、さらに人間から離れる方法なのであるから、情動焦点コーピングの一つであろう。自分の孤独感と劣等感を忘れるためには、いい手段と言えるのではないのか。現代社会はすでに機械抜きで、そしてバーチャルな世界抜きでは存在し得ない。その両方を使えば、我々のストレスの一部は解消、または軽減されるであろう