文章表現Ⅰクラス  日本で不思議に思うこと

日本人のすする文化について

 

インド文学インド哲学仏教学  王  征(中国)

 

私が日本へ来てから、2ヶ月以上たち、日本の生活にもなれてきた。しかし、どうして礼儀正しいことで有名な日本人が麺をすすって食べるのか、まだよく理解できない。

 この問題について、私が観察したことを基に、考えをまとめてみた。日本の食事マナーには仏教の修行の影響を受けているものが多い。寺院の修行道場での食事(仏教では「じきじ」と読む)は、朝の粥飯(しゅくじき:粥を食べる)と昼の飯食(ぼんじき:米などの飯<めし>を食べる)の2回の食事を正式としている。ただし体力を使う修行期間であれば、夕刻には薬食(やくじき)といい、体の調子を整える薬として日中の残り物や麺を食べることも認められている。

 特に禅宗の修行道場では「うどん供養」と称し、うどんはお代わり自由で、またすする音を立てることも許容されている。そもそも仏教では食事(じきじ)は修行の一つであり、食堂(じきどう)では私語はもちろん、食器や漬物の音を立てることすら禁じられている。そんな生活を送る中で、(仏教的な意味で)正式な食事ではないうどんを食べるときは、普段の緊張感から解放される時間なので、すする音を立てることが許される可能性がある。そのような背景から日本では麺をすする音に関しては、黙認されているのではないかと思う。

 中国などでは音を立てて食べるのは重大なマナー違反であるが、日本人にとって、これは昔から続く重要な文化の一つなのだろうと思う。