漢字学習Ⅰクラス  私が選んだ2012年の漢字

私の2012年の漢字「離」

 

美術史学  ファナスカ マルタ(イタリア)

 

2012年は私にとってさまざまなイベントや面白い出会いにあふれる一年であった。はじめてこれほど長い間、母国のイタリアを離れ、遠い日本で一人暮らしを始めた。そして、離れたのは母国だけではなく、そこにいる友達や大好きな家族もいつの間にかかなり遠く感じるようになった。だから、私にとっての2012年の漢字は「離」という字である。

人生でも出会いがあればいつか離れるということは常識であろう。ただ、それが常だからといって、離れることは簡単だとは言い切れない。特に私のように一人で知らない国に来たときは自分の国の文化から離れ、そこの文化にちかづかなければならない。つまり、あることから離れるということは違うことに近づくということになるだろう。

「離れる」と「近づく」は相対的に対をなしているともいえるだろう。私は母国の文化、母国にいる友達や家族、実家から離れた。しかし、その離れたことがきっかけになって、日本の文化や日本の生活スタイルに近づけた。そしてそれにより、私の大好きな日本の美術も前より深く理解できるようになったと思う。ただ、離れたところにもたまに帰らなければならない。そして帰るということもかなり難しいと思う。

私は去年の12月のクリスマスに帰国したが、一年会っていなかった友達と会ってみたら、みんなにはもうそれぞれ違う、私の知らない人生があった。そしてその知らない人生を理解するのはとても難しかった。そのため、しばらく会っていなかった友達や家族にやっと会えても、けんかしたりしてうまくコミュニケーションがとれなかった。その時、はじめて「離」の意味を強く感じた。そして、離れたところや昔の知り合いのところに戻るのがどんなに困難なことなのかがよくわかった。

以上の通り、去年は私にとって大事な人たちから「離れて」遠い日本で一人暮らしを初めて体験した一年であった。そしてやはりその「離れた」ことが心の中に強く感じられた。だから、私の2012年の漢字は「離」という字にした。