口頭表現Bクラス  専門について述べる

訓民正音について

 

韓国朝鮮言語社会  林 茶英(韓国)

 

 今日、私は訓民正音と訓民正音で表記されている三種類の漢字音についてご紹介したいと思います。訓民正音朝鮮時代世宗(セジョン)大王が制定した韓国の文字です。皆さんがご存じのハングルは訓民正音現代名称です。訓民正音意味えるしい」であり、漢字が分からないため、自分の考えを文字で書けなかった身分低い人のために作られたものです。この写真は『訓民正音』という書物の序文なんですが、ここに訓民正音の制定の目的がはっきり説明されています。

文字は大体表意文字と表音文字、二種類に分けられます。漢字は表意文字の一つであり、訓民正音は表音文字の一つです。写真を見ると、分かるように表意文字は一つ一つの文字が意味を表しています。一方、表音文字は文字で音を表します。

表音文字を製作するためには音韻理論の成立が前提にならなければなりません。つまり、対象の言語の音節構造、それを構成している要素とその体系が分析できる理論が必要なのです。当時、朝鮮には、宋国から伝わった漢語の音韻学理論がありました。しかし、それは漢語に基づいた理論だったので、韓国語の音節を分析することには適していませんでした。そこで、世宗が韓国語に当たる音韻理論を構築するようになりました。

世宗が立てた音韻理論は中国の理論とは全く違うものでした。相違点は音節の構造をどのように分析したのかを比べれば、すぐ分かります。中国の伝統の音韻学では、漢語の音節を声と韻に分けました。韻は韻頭、韻腹、韻尾に分けられ、韻尾はまた陽声と陰声に分けられます。その反面、世宗は韓国語の音節を初声、中声、終声に分けました。声、韻と初、中、終声の対応関係を見ると、写真のようです。まず、声と初声は、音節の中での役割が等しいです。次に、韻の構成要素の中で陽声韻尾を除いたものは中声に当たります。最後に、陽声韻尾は終声に当たります。

こうして制定された訓民正音は、全部で28字であり、そのなかで、初声が17字、中声が11字です。そして、初声のなかで8字が終声として用いられます。訓民正音覚えやすい文字なので、たった一日覚えられます訓民正音説明されている書物、『訓民正音解例』には「一朝のうちに覚えられ、おろかでも十日以内覚えられる」と書かれています。これが本当かどうか、皆さんも試してください。

世宗は訓民正音の制定と共に、『東國正韻』と『洪武正韻譯訓』という辞書を編纂しました。『東國正韻』は韓国漢字音の辞書であり、『洪武正韻譯訓』は中国漢字音の辞書です。写真をご覧ください。『東國正韻』を見れば、訓民正音で表記されたものが漢字音であり、下に載っている漢字の発音は全部同じです。『洪武正韻譯訓』も同一の形式で漢字音を表記しています。

『東國正韻』の漢字音は当時実際に用いられていたものではなく、実際に使われた漢字音を修正したものです。つまり、朝鮮時代の漢字音は二種類しかありませんでしたが、それらの表記方法には三種類があったということです。

三種類の漢字音の表記は次のようです。期限の期を例で見ましょう。期の実際の漢字音はですが、『東國正韻』ではと表記しました。そしてこの字の中国音はです。これらを国際音声記号を使って表すと、kɨjgɨjgiになります。

『訓民正音』、『東國正韻』、『洪武正韻譯訓』には世宗が立てた音韻学理論のすべてが入っていると言えます。私の専門は朝鮮漢字音でありますが、詳しく言えば、実際の漢字音、『東國正韻』、『洪武正韻譯訓』の漢字音を比較し、それらの対応関係をはっきりしたいと思っています。私はこの研究を通じて、漢字音だけではなく、世宗が長い間工夫して構築したその音韻学理論を明らかにしたいと思っています。