口頭表現Bクラス  賛否を述べる

死刑制度

 

日本語日本文学  グシュエンド フランソワ(フランス)

 

 皆さん、こんにちは。これから、「死刑制度は廃止すべきか存続すべきか」というテーマについてお話しさせていただきたいと思います。まず死刑そのものについての私の意見をお話しし、それからフランスの状況を簡単にご紹介します。

 死刑という刑罰はずっと前から存在していますが、死刑が執行される理由は必ずしも他人を殺したからだとは限りません。例えば、ある国ではリーダーを支持できないため、また麻薬の売買のため、ほかにも背教、つまり宗教に反する行為のため、処刑されるおそれもあります。しかし理由となる犯罪が何であっても、私は死刑制度に反対です。なぜかと言えば、少なくとも次の三つの問題があるからです。

 まず最初に、死刑制度は犯罪の予防にまったく役立たないと思われます。死刑制度の支持者は、この刑罰は潜在的な犯人に抑止効果、つまり犯罪を止める力があると言っています。しかし、死刑制度があろうがあるまいが、いつの時代にも大勢の殺人者が存在しているので、この刑罰はまったく抑止効果がないと言っても過言ではありません。したがって、死刑制度の支持の論拠としては弱いと考えられます。

 次に、死刑は不可逆的な刑罰です。不可逆的とは取り返しがつかないということで、望ましくありません。この点が死刑の一番まずいところだと思われます。いったん死刑が執行されてしまったら、後戻りはもうできません。仮に死刑囚が実は無実だったと気付いても、もう手遅れです。政府または裁判所がいくら謝っても、処刑された人はよみがえることが不可能であるだけでなく、本当の犯人がそれによって逮捕されないままになってしまったのです。それに対して、囚人が監獄で服役する場合は、裁判所は誤審に気づけば、その囚人を釈放でき、慰謝料を払うこともできます。

 最後に、殺人者がいくら残酷な人間だとしても、死刑執行人のほうが残酷だと思われます。なぜかと言えば、死刑執行人は法の名において人を殺すからです。法の名に基づいて行われる殺人は処刑されるほど悪いことではないということなのでしょうか。この点が死刑制度の矛盾ではないでしょうか。さらに、どんな処刑方法を使っても、ただ人間への虐待に過ぎません。要するに、死刑の無効性、不可逆性、残酷さといった問題のため、死刑制度に反対なのです。

では、これからフランスでの死刑制度の状況をご紹介します。

 フランスでは、死刑制度は少なくとも二つの理由で1981年に廃止されました。第一に、死刑はそんなに執行されていなかったため、世間でこの刑罰はいったい必要かどかという議論がなされ、最後に死刑を廃止したほうがいいという進歩的な考えになったからです。第二に、フランスでの処刑方法は極めて恐ろしくて残酷だったからです。というのは、死刑は斬首刑で、首を切るギロチンを使って執行していたからです。

 こういう状況では、私のみならず、フランス人の大半にとって、このような処刑方法は野蛮だと見做されました。その野蛮性を最も良く表現したのは、死刑制度の廃止を勧めたロベール・バダンテールという政治家で、弁護士でもある人物です。彼は1976年のある訴訟の際に、裁判官に次のような有名な言葉を言いました:「皆様、本当に彼を二つに切り分けることにしますか。」それから、死刑制度の廃止をめぐっての議論が生じ、1981年に当選したフランソワ・ミッテラン大統領が死刑制度を廃止することにしました。

 さて、死刑制度を廃止すべきか否かという本題について言えば、早急に廃止すべきだと思われます。しかしながら、各国の価値観が違うので、私の主張は受け入れがたいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。それでもあえて、今日は忌憚のない意見を述べさせていただきました。ご静聴ありがとうございました。