文章表現Ⅱクラス  自由テーマによる小論文  

聴衆にとって落語とは何か 

―落語会のアンケート調査から―

 

日本語日本文学  シルビエ・ブランデイソヴァー(チェコ)

 はじめに

 この小論では、筆者の研究テーマについて述べたいと思う。筆者の研究テーマは日本の
統芸能のひとつである落語である。今回の留学の目的は、チェコ落語を紹介できるよ
落語について調査し、資料を集め、まとめることある。ただし、今回は、この四月に来
し、調査し始めてからまだ3ヶ月しか経ってないため、本稿では、落語についてこれまで
調査したことを要約して述べたいと思う。
 筆者がはじめて落語に触れてからもうすぐ10年になる初は、テープやビデオだけ
で落語を聴いていた。約一年後に特別に開かれた落語会で初めて生落語を聴ことがで
た。寄席で落語をいたのはさらにその後だった。寄席に通うようになってから、落語や
語を演じる噺家だけではなく、生落語を聴きに来る聴衆についても興味を持つように
なっ
た。そこで、生の落語を聴く聴衆を対象にアンケート調査を行った。ここで述べる内容は
にそのアンケート調査に基づいた筆者の考察である。
 東京で行われた落語会においてアンケート用紙合計約400枚を配布し、回収された296
を調査に使用した。ここでは、そのうち、最も興味深い項目を取り上げ、分析、(調査の
果の)考察を試みる。

 落語会に来た回答者の年齢構成

年齢に関する項目では、若者は少なく、20歳から30歳までの回答者は全体の6.4%にと
まった。それに対して、30代以上はかなり広がりを見せている。成人の5歳ごとの区分け
は、41歳~45歳の回答者がもっとも多く、16.9%を占め、50歳から70歳までの回答者の
割合
3分の1に上った。概して中高年者が多いが、比較的若い30歳から40歳までの聴衆
も少なく
ないことが分かった。(図省略)

 人気のある噺の種類

 落語は笑いと結びつくので、落とし噺が多いと予測していたが、結果は人情噺が6割を占
めた。これは、聴衆が単に落語を笑って楽しむだけではなく、ストーリーを追い、感動も求
めているためではないかと思われる。(図省略)
 しかし、一方では、あなたにとって落語とは何かという質問に、「笑うための会話劇」という
回答が5割を占め、「感動を与える会話劇」
という答えは24%にとどまった。(図省略)

 落語に対する聴衆の考え         

 最後に、落語を聞きに行く人が、落語についてどのように考えているか、そのニュアンス
を補うために、いくつかの項目を提示し、その意見に賛成か反対かを記入してもらった。 
 回答者の過半数は、「元気がないときに気持ちを明るくしてくれる」という項目に賛成の
回答を示した。また、回答者の多くは、生の落語のほうが、テレビで落語を見たり、昔の上
手な落語家のテープを聞いたりするより楽しい、と思っているようである。同様に、「落語
は歴史がある演芸の中では、若者が理解しやすい」という項目に関しても、「賛成」と「や
や賛成」という回答をあわせると、賛成意見が過半数に上った。
 一方、「
古い日本の文化や言葉を知らないと落語が理解できない」、「教養のある人のほ
うが落語が理解できる」という項目に関しては、賛成、反対、どちらとも言えないという回
答がほぼ同数であった。更に、「落語は日本の独特な話芸であって外国人は理解できな
に賛成した人は少なかったが、どちらとも言えないと答えた人が最も多かった。「落語
は世
界的に知られている」という項目には、50%以上の回答者が反対としたが、この回答
に関し
ては筆者の予測どおりであった。 

おわりに

以上、生の落語の聴衆へのアンケートを通して、聴衆にとって落語とは何かを検討して
た。その結果、まず、気持ちを明るくしてくれるエンターテイメントだと考えられているが、
笑うためのエンターテイメントであるだけではなく、人間の本質を表すものだ、という考え
も含まれていることが分かった。
 また、回答者は、生の落語を楽しんでおり、回答者の多くはたまたま落語を聞きに来たわ
ではなく、繰り返し聞いていることが分かった。

 最後に、現在の落語の人気度、落語ブームというものがあるかどうかについても考えてみた
が、
全面的にそうであるとは言えないようだ。ブームであると言われてはいるが、寄席の入
場者数に
は大きな変化はないそうだ。(『知恵蔵2006:878)』)人気のある落語家の会のチ
ケットはす
ぐ売り切れるが、以前の日本中の人が落語を知っていた頃と比べると、まだその
レベルには達し
てはいないようだ

 参考文献
 春風亭昇太(2005)『落語って、こんなハナシ』ブックマン社
2 柳家権太郎(2005)『江戸が息づく古典落語50席』PHP文庫
3 『きく知る落語』(JTBMOOKJTBパブリッシング(20061月)
4 『知恵蔵 2006』朝日新聞社(20061月)
5 『東京かわら版』有限会社東京かわら版(20065月)
6 「落語ってなあに」http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Kyokai/AboutRakugo.aspx 
落語協会(200659日現在)


   <資料> アンケート用紙

 こんにちは
私はチェコからの留学生です。日本文化の一つとして落語の研究をしています。落語はチェ
コであまり知られていません。現在、落語が日本社会においてどのようなものなのか知りた
いと思い、調査しています。
日本人の意見を教えていただきたいと思います。下記のアンケートにご協力お願い致し

ます。調査の結果は研究だけに使用して個人名などを出すことはありません。

(a), (b), (c), (d), (e) はいずれか一つに○をつけてください

 1.どんな落語が好きですか。
1.1a)古典落語    (b)新作落語
1.2 (a)落とし話  (b) 怪談話 (c)人情話 (d)その他(                    )
1.3 好きな噺を書いてください。(いくつでも)
(                                      )

 2.一年に何回くらい落語を聞きに行きますか。    

0回

1-2回

3-5回

6-10回

11-20回

21-30 回

31-50回

51回以上

(    回)

 3.あなたにとって落語は何ですか。あなたの意見に一番近い答えを選んでください。 

 私にとって落語は:
(a)感動を与える会話劇
(b)笑うための会話劇
(c)はっきりしたルールを持つ会話劇
(d)教訓を与える楽しい会話劇
(e)その他 (                             

4.以下の落語についての考え方にあなたは賛成ですか、反対ですか。

 表の中の番号に○を付けてください:

1-賛成      2-やや賛成         3-どちらとも言えない   4-やや反対 5-反対

元気がないときに気持ちを明るくしてくれる。

1

2

3

4

5

落語は歴史がある演芸の中では、若者が理解しやすい。

1

2

3

4

5

古い日本の文化や言葉を知らないと落語が理解できない。

1

2

3

4

5

落語は日本の独特な話芸であって外国人は理解できない。

1

2

3

4

5

落語は世界的に知られている。

1

2

3

4

5

テレビで見る落語より生の落語のほうが楽しい。

1

2

3

4

5

昔の上手な人の落語をテープなどで聞くより生の落語のほうが楽しい。

1

2

3

4

5

教養のある人のほうが落語が理解できる。

1

2

3

4

5

 .落語について、ご意見やお考えを何でもご記入ください。