読解Ⅱ・読解Ⅳ・文章表現Ⅱクラス共通課題   原子力発電への賛否  

誰のための原発なのか

 

宗教学宗教史学  金 大榮(韓国)

 

本稿は原子力発電に対して反対の意見を述べるものである。

2011311日、東北地方での大地震の影響を受け、福島第一原子力発電所では運転中だ

った1号機か
ら3号機が自動停止した。停止後も冷却し続ける必要があったが、地震の影響

で送電線からの電力供給が
途絶えたため、バックアップ用の非常用ディーゼル発電機が自動

起動し、原子炉の冷却を行った。しかし
その後、約13メートルと推定される巨大な津波に襲

われ、非常用電源などの設備が冠水し、原子炉を冷却
することができなくなった。その結

果、原子炉建屋の爆発や放射性物質の外部への放出を引き起こした。

以上の内容は東京電力の中間報告書から要約引用したもので、当時大地震によって原発が

受けた被害と
それによって放射性物質が流出した経緯を説明している。この事故の後、日本

では原発の是非をめぐる議
論が今にいたるまで盛んに行われている。私の母国、韓国でも、

その危険性をおそれ、自国の原発につい
ての議論が続いている。

ところで、原発とはいったいどういうものなのか。産業革命以降、今日まで人類社会の進

歩にもっとも
貢献してきた資源、石油・石炭・天然ガスは残り少なくなりつつある。そこ

で、未来の豊かな生活を支え
る資源として原発が開発された。無限で自然に悪影響を与え

ないことが何度も強調された。

これが、原発に賛成する人々にとって最大の理由である。確かに、今回の事故で、原発の

安全性に対す
る懐疑心が強まっている。安全性を考えるならば、太陽光や風力や地熱という

方法もあるが、多大な開発
費がかかるわりに発生するエネルギー量が少ないという欠点があ

る。結局のところ、傷んでいく地球を助
けるためには安全性と経済性の両方を満たす資源が

不可欠であるが、今の技術では原発に代わる資源はな
いとする。

一方、原発に反対する理由の第一は、やはり何と言っても安全性である。過去における原

子力事故の中
で最悪とされたチェルノブイリ事故は、25,000名以上の死者を出し、流出した

放射性物質は他国にも深刻
な放射能汚染をもたらした。国際原子力事象評価尺度(

International Nuclear Event Scale
)によると、
チェルノブイリの原発事故はレベル7で、

過去最悪の事故と呼ばれている。そして、今回の福島原子力発
電所の事故もそれと同じレベ

ル7に位置づけられた。
『日本社会再考』(1993)では、3050年間、原発から電気エネル

ギーを得る代償として、われわれは、
猛毒の放射能を子孫に100万年も管理させようとして

いると指摘している。つまり、われわれの便利さの
ために、何世代もの子孫が苦しむわけで

ある。人間のために作られたものが、人間を脅かすものになった
のである。

以上に述べたことをまとめれば、以下のようになろう。

 

1.われわれには安全性・経済性を備えた資源が必要である。

2.原発はその条件に合うと思われたが、現実に起きた大事故によって安全性に問題が あることが判明した。

3.しかし、原発に代わる資源がない。

4.原発の運転には特別の注意が必要である。

 

しかし、命の危険をおかしてまで原発を維持する必要があるのだろうか。はたして命より

大切なものが
あろうか。よって、私は原発に反対である。万一、将来、原発を採用すること

くの人々の犠牲の上に成り立ち、また数多くの命を脅かすものであることは知っておく必要

がある。