読解Ⅱ・読解Ⅳ・文章表現Ⅱクラス共通課題   原子力発電への賛否  

「原子力発電が最高」の再考を

 

東アジア思想文化  李 龢書(台湾)

 

 日本の「電気事業連合会」の資料によると、2009年の世界における主なエネルギー消費五大国

は、アメ
リカ(21.8%)、中国(21.8%)、ロシア(6.4%)、インド(4.7%)、日本(4.6%)であった。この五

カ国の電
源別発電電力量の構成比率は各国の保有資源によって異なるが、2008年の主な電源

と原子力の比率は、ア
メリカが石油(49.1%)原子力(19.3%)、中国が石炭(78.9%)原子力(2.0%)、

ロシアが天然ガス(47.6%
原子力(15.7%)、インドが石炭(68.6%)原子力(1.8%)、日本が石炭

26.8%)原子力(24.0%)であった。

主に石油や石炭との比率であるが、日本は五カ国の中で、原子力の割合が一位である。

これは1970年代に起こった二度の石油危機と関係がある。これによって、各工業大国は発電コス

トが安
く、効率が高く、しかも二酸化炭素をほとんど排出しないという、さまざまな利点を持つ原子力

発電に対
する研究や普及を推進するようになった。そして現在、原子力発電は不可欠な電源と見

なされている。特
に、エネルギー資源が乏しい日本では原子力を除くエネルギー輸入依存度が

96%に達しているが、これは依
存度第二位のアメリカを35%も上回っている。日本に限らず工業大

国すべてに言えることであろうが、原子
力発電は最高の選択とみなされていると言ってよいだろう。

しかし、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故2011年の福島第一原子力発電所事故によ

って、原
子力発電は世間に強い衝撃と深刻な被害をもたらした。このような一連の重大な事故を経

験したからには、
原子力発電の存廃を真剣に検討しなければならないだろう。上述したように、原

子力発電は工業大国にと
って最高の選択肢であり、さまざまな利点がある。しかしながら、1956

に初の商用原子力発電所が設立
されてから半世紀を経ても、放射性廃棄物に対する万全な処理

方法はまだ確立されていない。その一方で、
これらの廃棄物は毎年かなりの量が増えていくと思

われる。

『日本社会再考』「原子力発電」に「30-50年の間、原発から電気エネルギーを得る代償として、わ

れわ
れは、猛毒の放射能を子孫に100万年間も管理させようとしている」と述べられているような状

況を考え
れば、たとえ原子力発電の利点がいくらあっても、このような代償を払うことはどうしてもで

きない。そ
れゆえ、抜本的な方法として原子力発電を全面的に廃止し、健全な善後策を講ずること

しか考えられない。

同時に、原子力発電に代替する電力の開発も進めなければならない。なぜなら、石油や石炭な

どのよう
な再生不能のエネルギー資源の埋蔵量には限界があり、現在のように消費し続ければ、

これらの資源はい
つかなくなるからである。特に風力、水力、地熱、太陽光などのような、再生可能

で環境汚染が少ない新
エネルギーの開発と普及を積極的に推進すべきだと考える。

また、最大限にエネルギーを節約することも大切である。これには国民だけでなく、政府や企業

の協力
も不可欠である。国民が節電をきちんと実践し、政府が万全な省エネルギー法と政策を実

施し、企業が省
ネルギーに関する商品や技術を開発すれば、原子力発電をやめても残りの電力

でまかなえると思う。

さらに、非常状態を避けるためには、隣国との間に電力を取引する制度も必要だと考える。

以上に述べたように、私は原子力発電に反対である。ただし、21世紀の現在、原子力発電の廃

棄をめぐ
る諸課題については、国境を越えて各国が連携し、グローバルな視点から行わなければ

ならないと考える。

 

参考資料のリンク(電気事業連合会のウェブサイト)

http://www.fepc.or.jp/library/publication/pamphlet/nuclear/zumenshu/pdf/all01.pdf