読解Ⅱ・読解Ⅳ・文章表現Ⅱクラス共通課題   原子力発電への賛否  

原子力に代わる再生可能なエネルギーを

日本語日本文学  フランソワ・グシュエンド(フランス)

 

原子力は最も理想的な発電方法だという話は果たして本当だろうか。19世紀以来、世

界諸国は後進で伝統
的な社会モデルから先進で産業的な社会モデルに変わってき

た。様々な商品を生産するために、多数の工場ができた。しかし、いかなる工場にとっ

ても、エネルギーは不可欠である。19世紀には、炭を燃やして蒸気機関を動かしてい

た。その後、石油
が使えるようになってきた。だが、化学者はその石油を基にして非常

に役に立つ化合物を生産できることに気づいたので、徐々にその天然資源を無駄にせ

ずに、他のエネルギー源を探すべきだと考え始めた。

 「他のエネルギー源」と言えば、何が思い浮かぶだろうか。水力や風力や太陽エネル

ギーといった天然資源がまず考えられる。しかしながら、商品を生産するために電気エ

ネルギーが必要である実業者は、それらの再生可能エネルギーから得られる発電量

では足りないと言う。また、環境保護者はダムや風車が環境に悪い影響を及ぼすと思

っているので、再生可能エネルギーの設備に反対することもある。かかる状況下では、

残るのは原子力しかないようである。

 原子力は、かなり便利なエネルギー源だと言っても過言ではない。ほんの少しのウラ

ンやプルトニウムを使って、大量に発電ができる。そのうえ、発電に際しては、生態系

に有毒である黒煙も出ないので、川や海に汚染物を流す必要もない。それなら、なぜ

この完璧なエネルギー源に反対する人が多いのだろうか。なぜ「原子力」と言うと、人

間は怖がるのだろうか。

 実は、原子力は目に見えなくて触れることもできないエネルギー源なので、恐ろしい

のである。しかも、歴史上重大な原子力発電事故は公式なものだけで少なくとも三つ

発生している。最も大きな災害をもたらしたのは1986年にウクライナのチェルノブイリ

原子力発電所で発生した事故であ
る。その核爆発は多くの人や動物を殺し、耕作可

能な土壌を長期にわたって汚染したために、ヨーロッパ人に思いもよらない衝撃を与

えた。

 一般的には、工場や発電所で火事が起きると、消防士がただちに火元に出動し、火

事を消し止める。火事は恐ろしいものだが、目に見えるので、人間が対処できる。それ

に対して、チェルノブイリの事故が起きたとき、消防士は火元に来ても何もできず、政

府には核の危険性がまったく見えていなかった。見えない危険性は見える危険性より

恐ろしく、立ち退かされた人は大変不安な状況だった。そのうえ、科学者は原子力発

電の問題をどう解決すればよいか全然分からなかったため、人々は専門家を信用しな

くなってしまった。

 チェルノブイリの事故から、25年も経った。科学者の原子力に対する知識は確かなも

のとなり、消防士の火事に対する対処の仕方もより良くなってきたはずだと考えられて

いた。だが、2011年3月の東北地方
太平洋沖地震で再び発生した原子力発電所の事

故においても25年前と同じ状況となり、専門家はどうすれ
ばいいのか分からなかった。

25
年も経ったものの、問題を解決すべき先端科学技術はま
だないようである。次の事

故はいつどこで発生するのだろうか。そして何人が殺されるのだろうか。
 
 結論を言えば、
原子力は現代社会に役に立つが、危険すぎるので、他のエネルギー

源を使ったほうがよい。ダムは川の生態系に悪い影響を及ぼすと考えられるので、風

車やソーラーパネルや地熱発電といった技術を基にして発電するべきである。しかし、

風車は地上に立っていると、醜くて騒がしいのみならず、空を飛ぶ鳥に危なくもあるの

で、海上風車の技術を開発する必要がある。また、節電もすべきである。現代の社会

ではエネルギーを贅沢に使うというのが当然になってきてしまった。しかし、節電政策を

実行すれば、電気の需要は徐々に減っていくのではないだろうか。そうすれば、原子力

を使わずに安心して生活できるようになると考える。