読解Ⅱ・読解Ⅳ・文章表現Ⅱクラス共通課題   原子力発電への賛否  

原子力発電と現代生活

 

新領域創成科学  トウ ゲック ティング(マレーシア)

 

昨年の311日の東日本大震災以来、世界各地で原子力発電に対する賛否両論

が激しく巻
き起こり、10ヶ月あまり経過した現在もまだ脱原発デモや署名活動が頻繁

に見られる。果た
して本当に原子力発電所を全部停止したほうが良いのだろうか。

確かに、それも一理あると
思うが、筆者は以下に述べる理由により、この見解には賛

成できない。

第一に、現時点においてはすぐに代替となる他のエネルギーが無いのが現実であ

る。現代
の生活には、家電製品は不可欠なものとなっており、人々は電気に依存した

生活をしている。
そのため、電気使用量は、二、三十年前と比べ、上がる一方である。

継続的に充分なエネル
ギーを供給するには、水・風・火力発電より発電量が多く、効率

が良い原子力発電に頼らざ
るを得ないと思われる。

第二に、原子力発電は国民の生活水準だけでなく、国の産業、経済を維持すること

と密接
な関係がある。例えば、東日本大震災後の数ヶ月間、電力不足により生じた計

画停電は、国
民の日常生活に不便であったばかりか、国の経済にも多大な影響を与

えた。国民が負担の大
きい節電生活に耐えられるかどうかは別として、工場や職場な

どが不安定な状況となり、多
くの企業が倒産に至ったのは事実なのだ。この状況が継

続すると、日本だけではなく、全世
界の経済まで崩れる恐れがある。

第三に、どんな発電方法にしたところでなんらかの問題点があろう。例えば、水力発

電は
ダムの建設で環境破壊や自然災害などと繋がっており、風力発電は発電施設の

周辺に住む鳥
類の死を招き、生態系に重大な影響を与える。また、火力発電は二酸

化炭素の排出が多いた
め、地球温暖化と関わっている。したがって、問題のある発電

施設を全て廃棄することはで
きないだろう。原子力発電は厳しく管理さえすれば、放射

能の問題もなく、むしろ環境に与
えるダメージは少ないと考えられる。

以上のことから、現時点において、全ての原子炉を廃炉にすべきではない。極端な

考え方
をせず、事実を検討しながら、新しい電力設備ができるまで、原子力発電を受

容していくこ
とが望ましいのではないか。

とは言え、万一災害が再発した場合の影響の大きさを考えると、できるだけ必要な

数を保
留するにとどめるよう、検討すべきであろう。また、関係機関は原発施設を操作

しながら、
常に安全性の確保はもちろん、改善策の検討もすべきである。結局、原子

力発電が必要かど
うかは、非常に難しい課題であり、断言できることではない。関係

機関と国民の間の信頼関
係にも関わっているのではなかろうか。