口頭表現Bクラス  専門に関連のあるテーマによるスピーチ

宗教学について

 

           宗教学宗教史学    妍(中国)

 

今年の四月まで、わたしは宗教学や宗教というものにあまり触れたことがないという状

でしたので、私の宗教学のレベルは今もまだ初心者のレベルでしかありません。

ですから、
今日は自分の研究テーマをめぐる話ではなく、三ヶ月間の勉強を通じて学

んできた、これま
で抱いていたイメージとはまったく違った宗教学に対する見方につい

て発表させていただき
ます。

では、以前私が抱いていたイメージから話し始めましょう。皆さんは宗教学ということば

を聞くと、はじめにどのようなイメージを抱くでしょうか。ちょっと考えてみてください。

たしはこれまで宗教学と宗教をあまり分けて考えていませんでした。宗教学を勉強する

と、
ある教義を信じなければならないのではないかと考えたこともあります。また、民

族問題、
政治問題、中東戦争、不幸なユダヤ人、ラーデン、9.11などといった、デリケ

ートな問題
に関することばも頭に思い浮かべました。もちろん、以上述べたようなもの

も宗教学の研究
範囲に属しますが、それだけが宗教学ではありません。また、私の専

門は宗教学だと言うと、
「奥深い」、「深そうだ」と言う人も少なくありませんが、今日は、

もっとやさしい宗教学、
身近な宗教学に関するお話を皆さんにしてみたいと思います。

 まず、宗教学の研究対象についてお話します。ファション雑誌にはよく星座占い、運勢

い、心理テストなどが載っていて、若い女性の間でとても人気があるようです。こうい

う現
象は民間信仰ではないけれども、信仰に近いものです。宗教学の研究対象にはこ

のような信
仰に関連する社会的行為も含まれます。つまり、宗教学は社会学や心理学

にも関係がある学
問で、固くて単一の学問ではありません。

 次に、祭りとの関係についてお話しましょう。祭りは宗教と深い関係があります。宗教

祭典に当たる日には世界各地でいろいろな宗教的活動が行われます。たとえば、イ

エスの誕
生日を記念するためのクリスマス、イエスの蘇りを記念するためのイースター、

アメリカの
Thanksgiving Dayなどです。日本では一月一日には神社やお寺に初詣に行く

宗教的な習慣が
あり、春分の日には祖先祭祀が行われます。同様に中国にも、祖先祭

祀をする祭り、清明節
があります。中国では特に端午節が強い宗教性を持つ伝統的な

祭りです。この日は五毒が出
てくるので菖蒲やよもぎを軒に挿し込んで邪気を払う行事

が行われます。以上述べたような
りは宗教学にとって貴重な文化資源です。宗教学の

立場から見るとさまざまな伝統文化や
民俗文化の歴史が研究できますし、逆に歴史か

ら見ると宗教は切り離せない一部分であると
言えると思います。

 では、続いて宗教学の重要なポイントである、「思想のゲーム」についてお話しします。

こで言うゲームとは「自由な想像」のたとえです。そもそも宗教のはじまりは未知のこ

とに
ついての説明でした。死後のことは今日でも解明されていませんが、どんな宗教

にも死後の
世界や輪廻に対する論述があります。このような、未解明のことが説明で

きるのは人間の想
像力のおかげだと思います。宗教学では、一時的に既知の現代科

学を忘れ、自分の想像力を
生かして昔の人々の精神世界を体得しようと努力する必要

があります。つまり、宗教学とは
人類の思想の変遷についての研究であると言えます。 

 たとえば、宗教学研究室の濱田さんの論文、「中国漢代における厨房の世界観――

竈型の宇
宙と死者昇天の経緯について」からは、昔の人との思想的交流が感じられま

す。どこにでも
あるかまどがなぜ祭祀の対象となったのか、なぜ家族神として崇拝されて

いたのか、どうし
て死や病の場合に祀られたのか、想像力を用いて素晴らしい解釈が述

べられていて、とても
不思議な感じがしました。かまどという構造は、鍋の中の水が沸い

て蒸気が出て、それがせ
いろの穴を通ってふたにつき、水滴になって落ちるようにでき

ていますが、自然界の降雨現
象の仕組みによく似ています。それが、さまざまな文

献に記載されているように、神が曇に
乗って天に昇るなどという説話と結びついて、昔の

人々はかまどから死後のことを推測して
きたのです。この例に見られるように、宗教学

は人間の思想や精神生活に深く関係がある学
問なのです。

 最後に、実は宗教学は人々から隔たった、受け入れがたいものではないということを

述べ
ておきたいと思います。物欲がはびこる現代、私たちは人々の精神生活により注

目すべきだ
と思います。以前にもまして、宗教は精神生活を支える大切な一部として注

目され、研究さ
れる価値があると思います。