口頭表現Bクラス  専門に関連のあるテーマによるスピーチ

都市空間の比較 ―ソウルと江戸―

日本史学  柳 承喜(韓国)

 

現在、私が研究しているのは近世における韓国のソウルと日本の江戸の都市

空間
の比較です。従来の前近代のソウル都市空間の比較研究は中国との比較に

限定され、
『周礼』の都城造営原理が都市形成に大きな影響を及ぼしているこ

とが注目されて
きました。しかし、比較論的観点から東アジア都市計画の共通

性と特殊性を把握す
るためには日本との比較研究が進められる必要がありま

す。そのため、私は二つの
都市の形態史的側面から都市形態の歴史的な変遷過

程の理解を試みています。

まず、漢陽(李氏朝鮮時代のソウルのこと)と 江戸の立地条件を見ると、

どちら
も軍事、交通、流通における重要な地理的利点を持っていました。ま

た、どちらも
風水の論理に基づき、権威的な景観が形成されていました。江戸

の場合、初期の都
市構造は政治性が重視される近世城下町であり、平安京の構

造理念が十全に反映さ
れていました。

しかし、都市インフラ建設に現われた空間理念を見ると、それぞれに特徴が

あり
ます。漢陽の場合、儀礼空間の整備を通じて朝鮮の士大夫たちは礼制が合

わない場
合、これを積極的に改め、礼治による政治的理想をめざしました。す

なわち、儀礼
空間を徹底的に諸侯の空間として位置づけました。それに対して、

江戸では大名の
権威の象徴としては天守閣を造形し、その権力を誇示するため

に身分による居住地
の区分けをしました。都市の内部は住人の身分ないし社会

関係によって武家地、寺
社地、町地に明確に区分けされています。江戸城を中

心に大名の藩邸と旗本、御家
人の屋敷地が山の手と呼ばれる台地上の居住条件

の良い場所を占めているのに対し
て、商人、職人などの居住地である町地は下

町と呼ばれ、埋め立てによって造成さ
れた地域で、居住条件が良くない場所に

ありました。

以上に概観したように、漢陽と江戸の都市構造はそれぞれの国家的特性と社

会制
度、思想、文化によって規定される共通性と特殊性を持っています。漢陽

も江戸も
従来の支配勢力が去った後、新しい地域に建設された、政治的権力を

所有する計画
都市であり、生産都市ではない消費都市でした。また儀礼的性格

と階級性が内在し
た都市でした。私は伝統的な都市の形成と変容に関する日韓

の都市比較研究を通じ
て、近世都市の自治的性格などが近代国民国家の成立に

どんな変化をもたらし、近
代都市形成にどんな影響を及ぼしたのかを硏究した

いと思っています。それによっ
て近世都市から近代都市への移行期に現われた

東アジア都市空間の共通性と特殊性
を明らかにできると思います。