読解Ⅲクラス  「接吻」
 

「接吻」の感想

 

日本史学  ヨハナ・トレリ(スウェーデン)

 

 この小説の魅力は、あまり感動的ではないままに、小さい女の子の視点から世界を

見せることだと思う。キワは世間知らずだが、かなりの観察力があり、彼女の見える

世界は読者の我々も納得できる。

 また、先生が当時の東北と東京の状況を説明してくれたことは小説の場面をより興

味深くさせた。背景を知ることは面白さを深める。

 ところで、時代は現在とは少し違うとしても、キワと父親の新しい恋人が仲良くなった

のは全然おかしくないと思う。キワの母親はキワをおいて行ってしまったので、仲が悪

いと想像できるであろう。だとしたら、キワの母親役には「婆っちゃ」しかいないのかも

しれない。父親の恋人はちょうど母親みたいに行動し、その人とキワの父親とキワ自

身の三人は、家族らしい家族になるのではないか。キワにとって母親の代わりがいて

くれてよかったと思う。

 実は父親の新しい恋人(それとも妻)が子供の「敵」であるという考え方は、不自然だ

と思わざるを得ない。現在のスウェーデンでは離婚率がとても高く、父親の新しい妻

や母親の新しい夫の「仮親」がある子供が非常に多い。キワの時代の日本ではそうい

うことが認められていないのであろう。現在の日本もそうかもしれない。しかし、私にと

って、キワとその女の人の仲良しさは微笑ましいものである。