文章表現Ⅲクラス  日本の森林
 

 

資源としての林業について、台湾の現状

美術史学  黄 建霖(台湾)

 

台湾の林業というと、台湾人に聞いても特にはっきりした印象がないだろうと思う。確

かに奈良の東大寺にある、とある巨大な柱は台湾の阿里山原産のヒノキだっ
たが、終

戦以後、だいたい日本と同じく、法律体制のゆえに、自国の木材を伐採せ
ず、輸入に

頼るようになってきた。

森林の問題において、台湾は日本と似ているところは少なくない。同じようにほぼ三

分の二の国土を占めているし、それに、山が多い台湾では、海抜の変化ととも
、もっと

高いところに行くと、樹種も熱帯から寒帯へと変わっていき、色々な動
植物が見られ

る。だが、カナダなどの寒冷国のような広大な針葉樹林帯はない。つ
まり、大規模な林

業利用は不可能といえるし、それを資源とする森林関連の産業は、
わずかのパルプの

生産などしかないのだろう。南の国だから、熱帯気候に覆われる
国土面積は半分に近

いのに、いくら貴重な樹種が生えていても、伐採は禁止されて
いるというわけではない

が、さまざまな制限があるので、有効に利用されている状
態とは言えない。よく違法伐

採のニュースが出るものの、国会でより効率的に国内
の資源を利用する見直しの提案

が出てくる見込みもなさそうだ。

それに、二酸化炭素の排出量を削減することも兼ねて、自分の国のアイデンティティ

のため、法改正によって、日本の伝統的な木造住宅の建築を保障することなど
は、実

に一石二鳥の策だと思うが、台湾の現状に目を移すと、国の文化を代表でき
る木造の

伝統的な住宅はほとんどないと思われ、あるのは磚(セン、中国式煉瓦)
造の閩(ビ

ン、中国福建省の古称)式建築だけだ。そうは言っても、この前に台北
行われた国際

花卉博覧会でも見世物として公開された、ほぼ博物館に入りそうな
閩式建築を、どうや

って現代生活に合うように生まれ変わらせるかも、やはり専門
家を悩ますややこしい難

題なのではないだろうか。もし日本統治時期の和式木造建
築も考慮に入れれば、それ

はもう一つのアイデンティティの問題になるに相違ない。

幸いなことに、台湾でも土地の私有という観念は根強いが、山林の場合はまだ日

ほどではなさそうだ。たとえ土地の持ち主は誰かをちゃんと知っていても、山や
森でキノ

コやタケノコを採ったり、散策したりしても大した問題にならないと思う。
と考えると、台

湾の問題はやはり「ケチ」であることにある。森を宝物にしすぎた
あげく、自国の木を切

らず、お金があれば東南アジアからどんどん買ってくる一方
だ。要するに、林業政策に

おいては、国に資源としての有効利用の意識がない以上、
この状態のままが続いてい

くのも当前ではないだろうか。