文章表現Tクラス   闇の消失
  

闇の意味

 

現代文芸論  マヤ・レンチョフスカ(ポーランド)

 

私は青春時代に、ニューヨークへ旅行をしたことがある。街の中央にあるタイムズ・

スクエアという広場を散歩した。そのとき、突然、周りの景色が真っ暗になって、停電が

起こった。英語でブラック・アウトと呼ばれる。米国の夏によくあるできごとの目撃者に

なったのだ。タイムズ・スクエアの雰囲気は一瞬のうちにまったく変わった。けれども、

危険そうになったわけではなく、逆におだやかになったのである。

「闇の消失」というテキストを読み始めると、ニューヨークの経験が自然に意識に浮

かんだ。筆者が挙げた例と論理は私の述べたいことに近いものである。

ポーランドの都市や道路は日本と比べると暗いが、毎週どんどん明るくなってきてい

る。今、妊娠中の友人の娘が生まれたら、本当の闇を見る可能性があるかどうかわか

らない。私たちの子どもは闇を知らないために、闇を自分の敵と思ったり、危険なもの

だと思うかもしれない。いつも明るさに囲まれている人間は本当の世界を見捨ててしま

うであろう。テキストに書かれているように、闇や光の意味は、明るさの下で育った者に

は分かりにくいだろう。

次の世代にどのように闇の大切さを伝えればよいだろうか。たとえば、いつか子ども

と一緒に森へ行き、「見てごらん、これが本当に自然な世界だよ」と子どもに言ってはど

うだろうか。けれども、そうする前に、自らが照明に対する好みを変えなければならな

い。それは本当に難しい試練ではないであろうか。