日本事情クラス  スピーチ
 

寿司の伝統と歴史

 

日本語日本文学  マルコ・ラッザロ(イタリア)

 

日本人が大好きな(最近はイタリア人も…)寿司とは何でしょうか。寿司の世界を理

解するためには「寿司」という言葉の意味も知らなければならないと思います。

 「寿司」という言葉の由来は、お祝い事「寿」と、「司る」の意味を示しており、縁起がよ

いと言い伝えられています。この寿司は、日本が世界に誇れる独自の食文化です。

 寿司と一口に言っても、様々な形態があります。握り寿司や巻き寿司、ちらし寿司、

箱寿司、押し寿司など、刺身と間違えるようなものもあります。そして、日本の伝統的な

寿司の技術には、修行によって継承されてきたプロが作る寿司と、郷土料理として日

本各地の家庭で母から子へと伝承されてきた寿司とがあります、 また、近年の世界

的な寿司ブームにより、日本のこうした寿司とは違った、カリフォルニアロールに代表さ

れる「ロール寿司」が海外では主流になっています。

 この例を見ると、寿司の世界を取り巻く環境は、近年激しく変化していることがわかり

ます。

 しかし、寿司はただ口に運ぶだけのものではなく、長い伝統と歴史を持つ料理です。

東京にある寿司屋の看板をみれば、「江戸前」という言葉がよく見られます。私の経験

では、日本人の友達に「江戸前寿司」とは何かと聞いたら、「東京では特別な寿司の種

類かな」と中途半端な答えが返って来ました。もちろん、江戸前寿司は今の有楽町、東

京駅の八重洲口から神田駅近くまで(現在の中央区の銀座)で作られた、新鮮な魚の

刺身のような形で売られた寿司ですが、江戸時代以前から品川湾で獲れた魚で作った

にぎり寿司のことをします。手間がかかる大阪風の押し寿司に対して、商売のせい

でいつも忙しくて短気な江戸っ子のためには、屋台を中心とする、すぐ喰える寿司が必

要でした。今はゆっくりと寿司屋でにぎり寿司を注文できるのですが、江戸時代はそう

ではありませんでした。「保存」という言葉を知らない江戸時代が終わって明治時代に

はいると、企業化された製氷のおかげもあり、寿司屋でも氷が手に入りやすくなりま

す。明治時代の末には、近海漁業の漁法や流通の進歩、電気冷蔵庫を備える店が出

てきたこともあって、生鮮魚介を扱う環境が格段によくなります。

 そして、1923年の関東大震災により、被災した東京のすし職人達が故郷に帰り、

本全国に拡がっていったのです。

 1980代には、アメリカでは、魚と米 で作った寿司は、健康に良いとされ、"SUSHI・ブ

ーム"が起こり、SUSHI・バーができたくらいです。 日本では寿司は大衆的なルーツを

維持していますが、アメリカやヨーロッパでは、2000年に入ると、寿司は高級な料理と

みなされ、エリートに属している人しか食べない料理として評判になりました。

 伝統的な寿司を味わいながら、ほかの文化との交流によって生まれた作り方を理解

することは、私にとって、この素晴らしい寿司の世界を楽しむきっかけになると思いま

す。