漢字学習クラス  私の今年の漢字(2010年)
                                            

私の今年の漢字「別」

現代文芸論  マリア・ホビ(フィンランド)

私の今年の漢字は「別」である。子供のころ、他のフィンランド人の子供たち

と同じような夢があった。ムーミンのアニメを観、スナフキンのような冒険者に

なりたかったのだ。13歳になったとき、私の夢が叶えられた。フィンランドを離

れ、ベルギーに引っ越した。ベルギーで高校生活まで終えるとイギリスの大学で

勉強した。大学を卒業するとベルギーに帰って六ヶ月仕事をしたが、またイギリ

スに戻った。こんな「ジプシー生活」にもだんだん慣れてきた。

それでも、これまで住んでいた場所と比べて、東京は私にとって別世界であっ

た。16歳からずっと東京に来たかったので、九月に初めて来日したばかりのころ

は夢のような感じがしていた。渋谷のハチ公前の横断歩道は映画や写真で見たこ

とがあったが、実際に目にして、「うわあー、今本当に東京にいるんだ」と、も

のすごくわくわくした。

しかし、イギリスの友人が今も恋しい。ヒースロー空港で別れるときは、皆と

一緒に泣いた。イギリスからベルギーに帰ったときも同じイギリスの友人と一緒

に泣いたが、今回は前よりいっそう遠いところだし、六ヶ月だけではなく、一年

間も会うことができないと分かっていたので、とても切ない見送りだった。来年

はまた東京の友人と別れなければならないが、それはまだ考えたくない。

東京に引っ越し、色々なことが変わったし、色々なことを教わったし、私の考

え方も少し変わったが、別人になったわけではない。今も同じような悩みや喜び

がある。でも、別の世界を楽しんでいる。イギリスではずっと同じ友人と同級生

に会い、数年間何も変化がなかったから、居心地はよかったけれども少したいく

つな日常だった。しかし、今年は私の世界が大きく広がった。新しい日常生活が

始まったが、まだ慣れていないので、毎日が魅力的である。確かに特別な一年だ

った。