読解Uクラス  クローンと生命
 

クローン技術に対する問題点

 

社会学  クリスティアーナ・チェッリ(イタリア)

 

そもそもクローンとは何か。クローンとは同じ遺伝子情報に必要なDNAの全てを持

った生物体である。人間で言えば一卵性双生児がいい例であるが、遺伝情報 が同じ

だからと言っても育つ環境などで性格は変わってくるので、決して同じ人間ではない。

近年クローン技術は目覚ましい進歩発展を遂げた。世界初のクローン動物である羊

のドリー誕生はマスメディアをにぎわせ、学会のみならず世間でも人々の話題になっ

た。クローン技術を応用して健常な臓器を組織培養すれば病気の治療に役立つと期

待されている。
 
 だが、この新しい技術を現実に利用するためにはいくつかの無視出来ない重大な問

題がある。「クローン人間は危険である。動物でも異常児が生まれているし、体細胞ク

ローンはサルでも成功していない。動物実験で安全を確かめてから人間への応用をす

るべきだ」と、ある研究者は警告している。

クローン技術によって産み出された生命個体はオリジナルの遺伝子をコピーするた

めに寿命決定因子であるテロメアによって、寿命の限界があらかじめ短く設定されてし

まう。ドリーが短命で生涯を終えた理由はこのテロメア遺伝子によるところが大きいそ

うである。

また、クローニングを人間にも応用するとしたら、@卵子の提供者が多数必要であ

る、A流産などで母体に負担がかかる、B異常児が生まれる可能性があるなどなどの

問題が指摘されている が、私にはそれ以前の問題だと思えてしかたがない。進化の

過程で獲得してきたオスとメスの遺伝子の伝播による生命の誕生を、インスタント食品

や遺伝子操作の作物の誕生などに見られるように、生活の便利さの追求によって徐々

に狂わせ、クローンでさらに狂わすというのか。

 いずれにしてもクローン技術が発達すれば優秀な個体を組み合わせるような複雑な

技術も可能になる日が来るかもしれない。優秀なオスとメスとの遺伝子から、優秀な頭

脳と健康な体を持った、優秀な個体が生まれる。そうして優秀な個体を次々に伝播さ

せることでさらに優秀な個体を作り出す。しかし、優秀な個体が増えていけばいいので

あるが、突然変異が起こる可能性は少なくなっていくだろう。ひょっとしたら「バカボンの

パパ」のような人間が生まれてくるかもしれない。