読解Uクラス  クローンと生命
 

クローンに対する意見

 

社会学  金 銀京(韓国)

 

クローンは人間の受精卵を分割したり体細胞を核移植したりして人工的に複製した

胚だ。この技術を利用すれば体細胞だけでも自分と似た個体を作り出せるので理論

的にはクローン人間の誕生も可能だとされている。胚が受精したばかりの生命の誕生

段階にある細胞群に含まれている胚性幹細胞は、血液、脳、骨など、人のすべての臓

器や器官を形成する。クローン技術を使って胚から胚性幹細胞を取り出して培養すれ

ば、医療分野に飛躍的な進歩をもたらすことができると言われている。特にパーキンソ

ン病や糖尿病、癌、白血病、肝炎、発作など、難病の治療に大きく貢献すると期待され

ている。

だが、市民団体や宗教界の激しい反対にあった理由は、ヒトクローンに対する根本

的見解の違いのためだ。科学者らは受精後14日以前の胚芽研究は倫理的に問題に

ならないから、医学の発展と人類の健康増進のために人間胚複製技術を制限的なが

ら許容すべきだという立場だが、宗教団体では人間の生命は受精から始まると信じて

おり、人間胚も生命体であるのでいかなる場合にも研究に利用されてはいけないとす

る。

 私見を述べれば、クローン技術によって難病患者が治療できるという点は良いが、

複製人間の誕生の可能性があるという点は心配である。伝統的倫理、価値観の崩壊

という点でまだクローンに対して賛成はできない。たとえばこれまで動物のある個体の

正常な発生は雄雌の結合にともなう生殖細胞間の受精によってのみ可能になるとされ

ていたが、生殖細胞でない体細胞を利用した核移植技術が発展すれば、複製動物の

生産が本格的になるだろう。生殖に対する伝統的概念が崩壊するとともに動物の卵子

に人の細胞核を移植すると、人と同じになる可能性もあり、これによって人間の尊厳が

侵害されることも憂慮される。

もう一つの問題点は、胚複製を通した技術蓄積は結局適当な理由を付けられて

間個体複製への道を開くことになると思われることである。

ほかにも複製による人間の多様性と個性の喪失、複製された人間の自由剥奪問

題、複製人間の誕生による伝統的人間関係の破壊といった問題点が現れるだろう。