読解Uクラス  クローンと生命
 

クローン技術は本当に危ないのか

 

日本語日本文学  シモーネ・トマーシ(イタリア)

 

一般の人々は、クローン、特にヒトクローンと言えば、何となく怪しげなものとつなが

りがあるというイメージを抱くだろう。それは、他の場合と同様に、あまり知らないもの

は怖いという、ごく当たり前の感情があるためである。

また、昔ながらの悪い慣習だが、どんな新しい科学的な発見についても、科学と全く

関係のない分野の批判者は個人的な根拠の薄い意見を世界中に伝えることが多い。

ここで無関係の人たちというのは、例えば、宗教者(特にカトリック教の世界)や政治家

などである。

しかし、僕にはクローンと言えば、科学の進歩というイメージが思い浮かぶ。クロー

ンについてすこしでも真面目に考えれば、必ずしもクローンは悪いものとは限らないと

いうことが分ってくるだろう。僕にとっては遺伝情報を使って、その遺伝情報を持った有

機物体と完全に同じ生物(人間もできるらしい)を造ることは、この上なく素晴らしいも

のに思える。特に医学の応用にはクローンの技術が大変役立つと思う。例えば、壊れ

た器官を全く同じ器官と簡単に交換することができれば、異物移植に対する拒否反応

の確率はゼロに等しいと思われる。それは素晴らしいことではないだろうか。

もし、皆が前もって自分の器官のための部品を造らせておいて、病気になった場合

にその新しい器官と交換できるようになるなら、それはもう病気を恐れることはないと

いう意味だろう。そうなれば、問題は長くなった寿命の余裕をどうやって活かせるのか

という問題でしかないだろう。だが、それは別の問題だろう。話を戻そう。クローン技術

に関して、どう考えればいいのかというテーマは徹底的に悪いとも、徹底的に良いとも

言えないだろう。私自身は、クローンの技術には長所のほうが短所よりも多いと思う。

ただし、この技術への安全なイメージを与えられるのは科学界における厳しい規則で

あろう。しかし、私が憧れる厳しい規則はまだできていない。