2004年度開講講座

原典を読む

  この講座の受講は、学部・研究科を問いません。単位はすべて2単位です。

夏学期

冬学期

タイトル 講師 時間割
タルムードを読む 市川 裕 木曜5限
小林秀雄「私小説論」を読む 安藤 宏 火曜5限
司馬遷『史記』 大西 克也 木曜5限
チョムスキーの言語理論を読む 今西 典子 月曜5限
グリム童話の初版を読む(I) 重藤 実 木曜5限
スタンダール『赤と黒』を読む 月村 辰雄 金曜5限
トルストイを読む 金沢 美知子 木曜5限
ヴェルガを読む 浦 一章 金曜5限
中東欧文学の古典を読む 沼野 充義 火曜5限
幕末明治期の美術論 木下 直之 火曜4限
タイトル 講師 時間割
エドガー・アラン・ポーの短編小説 阿部 公彦 金曜5限
グリム童話の初版を読む(I) 重藤 実 木曜5限
ネルヴァルを読む(『十月の夜』) 田村 毅 月曜5限
ロシア民話を読む 長谷見 一雄 月曜5限

タルムードを読む/夏学期/2単位/木曜5限

講師:
市川 裕
授業内容
キリスト教が出現した直後、ユダヤではエルサレム第二神殿がローマ軍によって崩壊した。その後のユダヤ教社会を存続させる核になるのが、ユダヤ教の口伝律法バビロニア・タルムード(西暦500年頃成立)であった。本演習では、ユダヤ教の法思想の概略を理解し、タルムードの規定と議論そのものに触れることを目的とする。テクストは日本語訳、英訳、原典を適宜用いて、参加者が分担して調べ発表する形式で進めたい。

小林秀雄「私小説論」を読む/夏学期/2単位/火曜5限

講師:
安藤 宏
授業内容
小林秀雄の初期文芸評論の中から『私小説論』(1935年)をとりあげる。著名な評論だが、背景となる知識が必要であるため、読みかけて中断したままになっている読者も多いものと思われる。一行一行注釈的に解説するスタイルをとりつつ、「私小説」を初めとする近代文学の問題点、小林秀雄の切り口自体の持つ歴史性などについて、わかりやすく講述したい。
   

司馬遷『史記』/夏学期/2単位/木曜5限

講師:
大西 克也
授業内容
司馬遷『史記・伍子胥列伝』を、中華書局点校本をテキストに講読する。外国語である漢文(古代中国語)の語彙、語法に即した厳密な解釈を目指し、「なぜそのように訳せるのか」を問うことに重点を置く。現代中国語の学習歴は問わない。

チョムスキーの言語理論を読む/夏学期/2単位/月曜5限

講師:
今西 典子
授業内容
生成文法理論の①目標および方法論、②言語間変異および言語の習得可能性に係わる普遍文法についての理解を深めることをめざし、1980年以降の理論展開である原理とパラメータのアプローチへの理論進展の軌跡をChomsky(1965, 1975, 1981, 1986, 1995)等を踏まえて概観する。

グリム童話の初版を読む(I)/夏学期/2単位/木曜5限

講師:
重藤 実
授業内容:
日本語でも翻訳で広く読まれているグリム童話だが、その初版は、現在の版よりも口承文芸としての特徴をより多く持っていたと考えられる。最近はこの初版と、広く読まれている第7版との比較研究が、注目されている。

この授業では、よく知られた童話をいくつか選び、初版のドイツ語原文を読む。また第7版とも比較しながら、初版の特徴について考えてみたい。

グリム童話に関心のある人でも、ドイツ語の読解力を高めたい人でも、原典を読むことに挑戦する意欲のある人を歓迎します。


スタンダール『赤と黒』を読む/夏学期/2単位/金曜5限

講師:
月村 辰雄
授業内容:
フランス語の初級文法程度を修得した学生を対象とし、スタンダール『赤と黒』から、主人公ジュリアンのレナール夫人との恋、マチルドとの恋など、有名な箇所を選んで講読する。授業では、翻訳では表現できない、原文のニュアンスや味わいを中心に解説することになるであろう。テクストは当方でプリントを用意する。

トルストイを読む/夏学期/2単位/木曜5限

講師:
金沢 美知子
授業内容:
ロシア文学を代表する巨匠レフ・トルストイの作品を読む。ロシア語テクストの読みを通してトルストイ文学における主題と文体の特徴を理解することが狙いだが、履修者の語学力に応じて文法や単語に関する説明も行う。トルストイが生きた時代のロシア社会や文学界の様子なども紹介する。講読する作品としては、初期の『幼年時代』、円熟期の『アンナ・カレーニナ』を予定している。

ヴェルガを読む/夏学期/2単位/金曜5限

講師:
浦 一章
授業内容:
イタリア自然主義の代表的作家Giovanni Verga(1840-1922)のStoria di una capineraを読む。とり上げる作品はヴェルガの初期に属する作品であるが、修道院に入れられた若い女性が親しい女友だちに書き送った一連の書簡から成り立った小説である。この設定によって比較的平易な文体で書かれているが、イタリア語初級文法を終えてさらにイタリア語の知識を深めたい者には接近しやすい作品であろう。部分的には要約で済ませるなど、全体の流れがわかるような形で読み進めたい。また、19世紀の女性が置かれていた社会状況の興味深いドキュメントとともなりうるだろう。

中東欧文学の古典を読む/夏学期/2単位/火曜5限

講師:
沼野 充義
授業内容:
邦訳を使って(場合によって英訳を参照しながら)「東欧文学」の古典的な作品をいくつか講読し、作品の特徴やその時代背景などについて検討する。東欧文学の東欧らしさがどんな点にあるのか(西欧の文学とどこまで共通で、どこが違うのか)考え、この地域の文化の魅力の一端に触れたい。取り上げる具体的な作品は、今年度は「現代の古典」とも言うべき20世紀を中心に、ムロージェク、レム、シンボルスカ(以上ポーランド)、カフカ、チャペック、クンデラ(以上チェコ)、キシュ、パヴィチ(以上セルビア)など。初回にシラバスとリーディングリストを配布する。東欧語の知識は不要。読書欲と知的好奇心の旺盛な諸君の参加を歓迎する。

幕末明治期の美術論/夏学期/2単位/火曜4限

講師:
木下 直之
授業内容:
幕末から明治前期に活躍した洋画家高橋由一と、少し遅れて登場し明治期の文化行政、美術史学をリードした岡倉天心のそれぞれが書き残した言葉を読む。明治期の日本で、美術がどのように方向付けられたかを明らかにしたい。テキストは『高橋由一油画史料』(中央公論美術出版)と『岡倉天心全集』(平凡社)を主に用い、適宜、その周辺の美術家や美術評論家の美術論を参照する。とくに、高橋由一と交遊のあった亀井茲明の動向には注意を向けたい。

エドガー・アラン・ポーの短編小説/冬学期/2単位/金曜5限

講師:
阿部 公彦
授業内容
この授業では ‘William Wilson’, ‘The Fall of the House of Usher’, ‘The BlackCat’ といったポーの代表的な短編を読みます。ふだん小説を読まない人、あるいは小説について考えたり、小説について書いたりしたことがない人をもある程度念頭において、文章の書かれ方、ストーリーの始め方といった基本的な部分に注意を払いながら作品を鑑賞していく予定です。

テキストについては掲示します。


グリム童話の初版を読む(I)/冬学期/2単位/木曜5限

講師:
重藤 実
授業内容:
夏学期の続き。

ネルヴァルを読む(『十月の夜』)/冬学期/2単位/月曜5限

講師:
田村 毅
授業内容:
十九世紀フランスの作家ジェラール・ド・ネルヴァルの散文「十月の夜」を読む。夜のパリを徘徊するレアリスムの描写から、やがてダンテの地獄の辺境を想わせる不可思議な光景が生み出されてくる、短編の傑作。併せて『オーレリア』などの関連作品を読んでおくことが望ましい。

テクストについては随時教室で配布する。

参考:『ネルヴァル全集』、全6巻、筑摩書房、1997-2003。


ロシア民話を読む/冬学期/2単位/月曜5限

講師:
長谷見 一雄
授業内容:
ロシアに伝わる伝承民話と近代の創作民話をロシア語原典で読む。

伝承民話では,主に,19世紀のロシアの民俗学者アファナーシエフの編纂した民話集から,数点を選ぶ。参考書として,中村喜和編訳『アファナーシエフ ロシア民話集』全2冊(岩波文庫)を挙げておく。

創作民話からは,プーシキン,トルストイのほか,20世紀作家(レーミゾフ,ソログープなど)の作品からも,時間が許せば,選ぶ予定。

いずれの場合も,受講者が民話特有の言葉遣いに親しむことができるように努めたい。

教材はコピーを配布する。


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